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暖かい。そんなことを感じながら、意識が戻ってくる。
ゆっくりと目を開け、今の状況を理解しようとする。
どうやらベッドの上の布団の中にいるらしい。
体のあちこちが痛いけど、なんとか動かせそうだ。
体を起こそうと考えて腕に力を込めた……のだが。
右側の支えが足りず、ベッドから転げ落ちてしまった。
鈍い音を立てて地に倒れる。見てみると、木の床だ。
「いたた……。」
起き上がろうと再度、腕に力を込めようとして……そこで、気づいた。
右腕がない。正確には肘から先なんだけど。
左腕一本で体を支えながら立ち上がる。
無くなった右腕を見て考える。こうなったのは多分、最後の衝突のせいだろう。それはわかる。けど、なぜ今ここにいるのか。そもそもここはどこなのか。あのあとどうなったのか。
部屋を見回す。小さな部屋だ。このベッド以外には、目立ったものはない……と思ったけど。
「お、やっと目が覚めたのか。」
不意に言葉をかけらる。驚くことにその声を発した人物はすぐ後ろにいた。
長く真っ白な髪。同じように白い瞳。白い肌。とにかく白いその女性。感じさせるのは清楚さというよりも、不気味さ。
「やあ初めまして。私の名前はスズ。よろしくね。」
そう言って――――――左手を差し出してきた。