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空は、  作者: くーべる
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「ぐあっ。」

「くっ。」


僕とミカ、2人一緒に壁に叩き付けられる。


「正直、ここまでとはな。参った……。」


「あきら……めるなん、て、言わないでください、よ。」


そうは返したが、限界が近い。限界、が……



「この体も限界かな。」



突然の声に、意識が覚醒する。今のは……?

見ると、ルタの背後に黒い霧のようなものが小さなヒトの形を作っている。


「お前は……?」


「おやおや、随分弱ってるね。まあいいや。自己紹介させてもらおう。」


その黒い霧は丁寧にお辞儀なんてして。


「はじめまして。月光姫です。よろしく。」


すると、ミカが知っているような口で言う。


「まさか。月光姫とは驚きだ。」


「火の精霊ともあろうお方がなんて弱さだから、偽物なんじゃないか、なんて思っちゃったけど、やっぱり本人なのね。」


「ほっとけ……!」


「こんな全然力を出せない借り物の体でも楽勝なんだから、随分力が衰えたんだね。」


「……お前だって昔とは程遠いんじゃないのか?」


「何を根拠に。」


「今回はたまたまその体が強かっただけだ。そいつ以外だったら今頃お前なんかぼこぼこにしてやってる。」


「……まあいいわ。この体、もう私の力を宿すにはボロボロだし。最後に大きな一撃ぶっ放して、終わらせてあげる。」


ボロボロ……!?そんな。

地が震える。ルタの左手から青黒い炎が溢れている。


「黒炎、か。随分とこりゃ珍しいものを見れた。……残念だ。」


残念。その一言が何を意味するのか、わかってしまった。


「ソラ。私の力を一時的にお前に渡す。その力の全力で、あいつに迎え撃て。」


「そ、そんなことしたら……。」


ルタを殺してしまう。体がもうボロボロだって言ってた。だから嫌だ。そう、言いたかったのに。


「何もしないで死ぬよりマシだ。頼んだ。」


そうだ。何もしなかったら、こちらが死ぬ。


視界からミカが消えると、自分の体に力が湧いてきた。

限界だと感じてた体が、自由に動く。

この時の僕はただ必死だった。死の恐怖なんて微塵も感じなかった。

自分の全てをこの一撃に込める。その想いで、放った。


「うおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」


僕の放った一撃が、ルタの一撃とぶつかり合って――――――


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