25
剣がぶつかり合う。
甲高い音が鳴り響き、耳が痛くなる。
戦闘におけるミカはすごく冷静だった。
一切口を開かず、休みのない剣撃を浴びせてくる。接近戦では分が悪い。
かといって、炎を使った攻撃をしても、火の精霊であるミカの炎の前では火力負けしてしまい、役に立たない。
「でえやあああ!」
大きな声で自分を猛らせ、剣を振る。
が、何度やっても防がれてしまう。
一度距離をとった、その時。
出口のほうからルタさんが歩いてくるのが見えた。
どういうことだ?外で待ってるって言ってたのに。
「何かあったんですか?」
そう言いながら歩み寄ったその時。
「そいつから離れろ!ソラ!」
ミカの叫び声。
目に映ったのは、腰にある刀に手をかけたルタさんで――――――
次の瞬間には、僕のいた場所を薙ぎ払っていた。
「な、何が……!」
急に斬りかかってくるなんて。
「魔族に操られているようだ。」
「魔族!?」
2日前ルタさんから聞いた話が頭に浮かぶ。
それが今、ルタさんを操っている魔族なのだろうか。
「これは……そうとうまずいな。」
ミカの表情には焦りが見えた。
「一時休戦だ。あいつをどうにかする。」
「どうにかって、まさか。」
ミカは少し間をおいて言った。
「最悪は殺さなきゃならないかもな。」
「そんな……。」
殺す、なんて。
「魔族に操られた者はとんでもない力を発揮するという。……一瞬も気を抜くな。私もどれだけお前をサポートしてやれるかわからない。」
うなずく。
やるしか、なかった。
「来るぞっ!」
限界まで集中していた。それなのに。ルタが視界から消えた。
ようやく視界に捉えた時には、目の前で抜刀体制に入った状態だった。
!! 右側からくる斬撃を、本能でガードする。
剣で受けたのに、すさまじい衝撃が襲う。
「うわあああっ!」
文字通り吹っ飛んだ。初めての感覚だった。
壁にぶつかり、勢いが殺される。
ほとんど見えなかった。ミカがなんとか防いでいるのだが、ルタの斬撃が目で追えない。
「く……そ、」
さっきの一撃だけですごいダメージだ。
でも。
立ち上がる。
まだまだ!