19
いくら考えても話が浮かばなかったので19から21の話はなかったことにします。
旅を初めてもう半年が過ぎた。
魔族の脅威から一番遠い南大陸から旅を始め、そこから東大陸、北大陸へと移動してきた。
初代勇者の日記。そこに記されている北大陸の精霊の所在。その近くの村にやってきた。
北大陸。日本でいう冬が1年中続く場所。降雪が絶えず、とても寒いので、生き物が生きていくには厳しい環境だ。
この大陸の特徴として山が多いことが挙げられる。そのことと雪が多いことが合わさって、いろんな場所に移住している人間といえども、その数は他の3大陸に比べてかなり少ない。
そんな大陸で生まれ、主に生活しているのが鳥人族。空を飛べるということから地形の影響を受けずに、その数を増やしていったのだという。
もうあたりが暗くなり始めている。宿を探さないといけない。けれど。
村の中を歩く。小さな村だ。もしかすると、宿なんてないかもしれない。
そんなことを考えながら歩いていると、人を発見した。
「すみません。ちょっといいですか。」
この雪のなか、ただ突っ立って何をしているのか気にはなったが、話しかけてみる。
「ん、いいよ。何か用かい?」
その人は、狐の獣人だった。