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背中に冷たさを感じる。おかしい。
目が覚めるのはいつも布団の上。冷たいなんて感じたことは一度もない。
それに、固さも感じる。まるで、石の床に寝そべっているような・・・・・・。
ゆっくりと体を起こす。寝起きのだるさはあるが、だんだん意識もはっきりしてくる。
「・・・・・・。」
あたりを見渡す。いつもと目に入ってくる情報が違う。見慣れている自分の部屋じゃない。
そこで初めて、この状況に危機感を感じる。
「どこだ、ここ・・・・・・!」
目が覚めたら、知らない場所にいる。そのことだけで、頭が回らなくなりかけていた。その時、
「!」
人が寝ているのを発見した。
人がいる。それだけで少し安心する。なにか知っているかもしれない。悪いけど、起きてもらおう。いや、起きてもらいたい。
「あの、すいません。」
強めに体を揺さぶる。
「う、うぅん・・・・・・。」
小さいな。小学生くらいか・・・・・・? なんて考えていると、その子どもが体を起こした。
「ふわあああ」
大きな欠伸をしながら、目をこすっている。そして、あたりを見渡しながら、
「ここ、どこ?」
そのままこちらのほうを向いて、俺と目が合う。その子は目を大きく開いて、
「だ、誰ですか、あなた。」
どうやら、俺と同じらしい。