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城下町を走り抜けていく。どこの家も明かりがついておらず、真っ暗だった。
走りながら思う。さっき城の外壁をつたっていた時もそうだが、身体能力がかなり上がっているようだ。できないと思っていたのに、楽々だったし、走る体感速度も前よりずっと速い。
これがパワー6、か。
自分のステータスを思い出す。力の大きさとか足の速さとかはかかれてなかったから、全然関係ないのかもしれんけど。
そういえば、ソラのステータスは見なかったけど・・・・・・。本人が気づいていない力があったら、なにかアドバイスでもできたかもしれない。
町の中心からここまで距離はあったけど、一本道だったからか、1分くらいしかかからなかった。
町と外の境界線に立つ。この町には俺が想像していたような、町を守るための大きな壁はなかった。なぜだろうか。
まあ、いいか。
大きく息を吸い込む。見渡す限り、草原が広がっている。その中に一本の道がある。
『怖くないんですか!?』
ソラの言葉が頭に浮かぶ。
「怖いなあ。」
一人つぶやく。
こういう時の主人公って、何を考えてるんだろうか。怖くないんだろうか。テンプレテンプレ言いながら城を出て、旅に出て。なんだかんだうまくいって・・・・・・。偏った知識かもしれないけど。
でも、俺には今それしか異世界でうまく生きていく勇気がない。
・・・・・・考えてても仕方ないいか。
「よし、行くか!」
そう、気合いを入れて走り出した。