12
「大丈夫?」
手を差し伸べながら言う。
さっきの大声に驚いてしりもちをついてしまったみたいだった。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます。」
ソラが手を掴んだのを確認して、引っ張ってやる。
さて・・・・・・。
「なんでここに?」
短い質問だった。
言った後に、もうちょっと言葉がほしかった、なんて自分自身が思ってしまったくらいだったが、
「眠れなくて。そしたらカイさんが部屋から出ていく姿が見えたので、こんな時間にどこへ行くのかなって。」
眠れなくて・・・か。
「俺は今日、いつの間にか寝ちゃっててさ、目が覚めちゃったんだ。そのまま眠っても良かったんだけどさ、ちょっと思うことがあって。それで・・・・・・。」
「なんですか、思うことって。」
不安そうな顔で訪ねてくる。
俺の頭から離れてくれないのは元の世界のこと。今ここで、ソラに聞きたい。地球での俺たちの存在は、どうなっているのかなって。俺と同じように召喚されたソラになら、打ち明けることができる。そうしたら、少しは不安も和らぐ。
でも・・・・・・言えない。こんなこと言ったら、ソラを絶対に不安にさせる。俺は18でソラは12。俺が、しっかりしないと。
でも、やっぱり不安なんだ。ここで1年も、立ち止まっていたくない。だから。
夜空を見上げる。
しばらくの間、星空を眺めていた。
「なあ。ソラ君。俺、城から出ていこうと思ってるんだ。」
星々を眺めたまま、つぶやくように言う。
「え・・・・・・。」
その声は、驚いていた。