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「んあ・・・」
いつの間にか眠ってしまったようだ。
今、何時だろうか。といっても、時計はないんだけど。
昨日と同じように、屋上にやってきた。風が冷たい。
この世界にやってきて2日。正直、わからない。
こうして今過ごしている自分は、元の世界と変わらない。歩いて、見て、喋って。
でも、その自分が今、魔王を倒す存在でいる。漫画や小説で読んだ、勇者なのだ。旅をして、敵と戦って・・・。
様々な考えが頭の中をぐるぐるかき乱す。
「あーーーっ!もうわからん!」
空に向かって叫ぶ。すると、
「ひっ。」
小さな声が聞こえた。
正直、叫び声を聞かれてしまった恥ずかしさがあった。こんな夜中に、誰もいないと思ってたのに。
そうして声のしたほうを見てみると、
「ソラくんじゃないか。どうしたんだ、こんな時間に。」




