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しばらくするとソラが食堂にやってきた。
遅れて申し訳ないといった感じだったが、気にしなくていい、と言った。
その後、俺の隣に座ったことを確認すると、王子は話を始めた。
「まずは今日の予定を話そう。まずは、朝食をとる。その後、城を案内する。昨日はなにも紹介できなかったからね。」
城の案内か・・・結構広いからな、どのくらいかかるんだろう。
「それと、これからのことについてだ。君たちは昨日言った通り、魔王を倒すために召喚された。そのために必要な知識を身につけてもらう。」
「え、それって、一日で身につけられるものなんですか?」
俺が知識、と聞いて浮かんだのは、この世界の常識のことだ。社会のルールとかモノの価値、必需品のこと。あとは魔王がいる場所。そんなにたくさんあるわけはないとオ思うのだが、一日で、となると不安だ。
なんて考えていると、
「まさか。一日でなんてとんでもない。必要な知識はたくさんあるし、覚えるためにかかる時間もある。だから―――」
「1年。それを経て、旅に出てもらう」
1年。それは、考えていたものとかけ離れたものだった。