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予定調和

 単純に『ついてなかった日』はまだいい。

最悪な日ってのは、最高な日の振りをしてやってくるから余計に悪い。


 レブンは廊下は走ってはいけないルールなんて、くそくらえの勢いで疾走していた。

手にはやたら大きな厚紙。立派な厚紙だが走ったときの空気抵抗と後はレブンの気分でグシャグシャになっている。

廊下で世間話をしていた生徒達にとっては見慣れた光景だ。

レブンは定期的にこの光景を見せてくれるので、半分恒例行事みたいなもんである。


 「あぁ、また落ちたんだ。Eランク。」


 正解である。

しかし、今回は惜しいところまでいった。

レブンが調子がいいと言ったのは本当で、魔法を構成するところまではうまくいったのだ。

だがEランク試験は魔法を構成しても「使えなければ」意味がない。

試験官が用意した的にその魔法を当てて初めて合格である。

レブンは『魔法を対象に狙いを定めて打ち込む』という手順を完全に失念していた。


ここまできてうっかりする。それがレブンである。


結果、適当に放たれた火炎魔法弾は試験担当だった教頭の頭頂部を直撃。

大目玉を食らうこととなる。


 そんなこんなで、ぜぇぜぇ息をつきながらたどり着いたのはBランクの共同実験室。

扉の前には、さっき別れたときとおんなじ笑みを浮かべたグレイス。


 「グレイス・・・知ってた?」


 「うん!」


 これ以上ないくらいの悪い笑みで微笑むグレイス。

レブンが自信満々に調子がいいことを語ったとき、なんとなく分かっていた。

そして、悪魔の囁きのままにあえて魔法使用手順のことは教えなかったのだ。

かくて目論見は大成功。こうしてレブンは半べそでグレイスの前に立っていた。


 「うわーん!!グレイスぅぅ、はずかしめられたぁ!私お嫁にいけない!!」


 「よしよし、気にしない気にしない。」


 抱きついてきたレブンの頭を撫でながらかわいいやつだと思う。

これからも弄ってやろうと心に決めた。



 レブンにとっては大迷惑。


 本当に最悪の日である。




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