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【完結】婚約破棄?では法廷でお会いしましょう——悪役令嬢は六法全書でぶん殴る  作者: 木風


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2/2

後編

乾いた拍手が落ちた。

パチリ、パチリ、パチリ。音は王族専用の二階バルコニーから響いてきた。

全ての視線がそちらへ集まる。


そこに立っていたのは、カイルの実兄——第一王子ライオネル・リンドバーグだった。

冷徹な理知派として知られる男は、静かに笑っていた。


「見事だ、フィオナ嬢。法と論理だけで、この不当な断罪を返した」


カイルの顔が強張る。

ライオネルは、広間に向けて宣言した。


「この場での婚約破棄と追放の宣告は、手続きを欠く。無効だ。——そして、虚偽の告発を行った者については、然るべき捜査と処罰が必要になる」


フィオナは一枚の紙を取り出した。

それは、公爵家の法務部が用意していた明細書だった。


「法的に無効となった婚約破棄、公衆の面前での名誉毀損、そして虚偽告訴による精神的苦痛。違約金および慰謝料として、カイル殿下に金貨三百五十万。虚偽告訴と偽造の実行犯として、アメリア嬢に金貨五百万を請求いたします」


桁が落ちる音がした。

誰の喉からか分からない、短い悲鳴。


「領地追放や幽閉のような感情的な報復はいたしません。法治国家ですから」


フィオナは微笑む。


「ですが、賠償金は一枚たりとも負けません。法的に、きっちり回収させていただきます」


アメリアの仮面が、そこで砕けた。


「嘘よ!私が、金貨五百万ですって? ふざけないで! 全部フィオナのせいよ!あんたさえいなければ——!」


叫びながら飛びかかろうとした彼女を、騎士たちが押さえ込む。

夜会の優雅な音は消え、乱れた息遣いだけが響く。


フィオナは冷えた声で告げた。


「虚偽告訴および私文書偽造の容疑者です。法に則り、逮捕してください」


アメリアの絶叫が遠ざかっていく。

カイルは、その場で膝をついた。


数週間後。


フィオナは王宮の書庫の一角で、判例集に目を落としていた。

紙とインクの匂いは、彼女にとって最も落ち着く香りだった。


「こんなところで、また難しい顔をしている」


背後から、ライオネルの声がする。

彼は机の上の法典に視線を落とし、次にフィオナの手元を見た。


「君の知性は、この国の秩序を守る盾になる。……だから、君に提案がある」


彼は一歩近づく。


「法務顧問としての地位は、すでに用意した。だがそれとは別に、私の隣に立つパートナーとしての地位を、正式に受け取ってほしい」

「ライオネル殿下。その契約、法的に有効な形で承諾いたします」


フィオナは顔を上げ、少しだけ目を細めた。

彼が彼女の手に触れた、その瞬間。

ライオネルの脳裏に、夜会の光景がよぎり、疑問が沸く。

この聡明な女性が、あのような公衆の面前で断罪を素直に享受するだろうか?

もし、ライオネルの介入すら、全てがこの人の掌で転がされていたとしたら……


「フィオナ……どこまでが君の計画だったんだ?」


その問いに、フィオナは一瞬だけ目を大きく開いてみせる。


「さぁ。どこからだと思いますか?」

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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