Direction 3: 告白 - 時計が11時59分で止まったとき
2014年3月
「気分はどう?」と声がYsaに聞こえた。目を開けたらきっと王子様が見えるだろうと思っていたのだが…
「こんにちは、ナルセ先生」
「残念でしたね。王子様じゃなかったのね」美しい保健室の先生はくすくす笑った。
「いえ、違います…『彼』はどこ?」
「『お忙しい生徒会長』が、終業式のアフターケアのために巡回しているんです」
Ysaは貧血をきっかけに、ナルセ先生と親友になった。
ナルセ先生は美しいだけでなく、思いやりも深い。Ysaだけでなく、生徒の悩みを相談相手にしてくれることもあった。
今日はこれでおしまい、ナルセ先生にお礼を言ってYsaはクリニックを後にした。先生と話せるチャンスなのに、それもすべて貧血のせい…ああ!その考えにYsaは怒りがこみ上げてきた。今年、彼と話せたのはこれが最後だったが、失敗した…惨めな失敗だった。あの忌々しい廊下を歩きたくないイサは、校舎の外へ出た。
確か、体育館の裏に正門への近道があったはずだ。彼女は体育館へと向かった。
体育館の脇の壁沿いから、イサは不意を突かれたように声を掛けられた。
「だって、好きだからだ!」
頭の中でさえ響き渡るその言葉に、イサはひどく驚いた。隅っこには生徒が何人かいるようだった。盗み聞きするのは「女らしくない」行為だったが、イサはどうしても聞き続けることができなかった(後で後悔するだろう)。
隅っこにいた少女の姿がはっきりと見えた。彼女は彼女の先輩、メリッサ・デル・ロサリオだった。「彼」に次いで校内で2位、「誰とデートしたい?」誌の男子校ランキングでは3位(彼女はまあまあ)だった。彼女の前(イサの視点から後ろを向いて)には、「彼」と同じくらいの身長の背の高い少年がいた。
メリッサは涙ぐんだ目で、目の前の青年の告白への反応を必死に探していた。そして一瞬の沈黙の後、
「私…いろいろあって…」
「イエスかノーかの群ればかり…」真剣な眼差しで彼を見つめながら、メリッサは涙をこぼした。
ドキドキ
「わあ、学校一の成績上位2人が告白するなんて!誰なんだろう。きっとすごい人だわ」
ドキドキ
イサの心臓はきゅっと締め付けられる…頭の中で小さな声が繰り返した。「今すぐ行きなさい」。しかし、彼女の足は一歩も動かなかった。
「卒業まで待ってくれる?その時までに全部答えを教えてあげるから」
ドキドキ
青年は横を向き、顔を見せた…
当然、成績上位2人が恋に落ちる…あの頂点の座を分け合う王と王妃。
メリッサの瞳は希望に満ち、微笑みながら静かに頷いた。
「行こう。雨が降りそうだ」若い男は少女を促し、彼女の手を取った。
恋する少女も彼の手を握り、肩を並べて歩いた。
呆然としたイサは、ただそこに立ち尽くしていた。
イサの涙は止まらなかった。まるで彼女を慰めるかのように、雨がポツポツと落ち始めた。(これもまた決まり文句だが、雨のおかげでイサの涙は隠され、雷のおかげで彼女の泣き声は聞こえなかった)
その夜、すべてが止まったようだった。まるで時間が止まったかのように…いや、止む気配がなかったかのように…
チクタク...チクタク...
時計の針は音を立て続けに動かしていたが、部屋の時間は停滞していた。イサは雷鳴も気にせずベッドに横たわっていた。「ああすればよかった…」「ああすればよかった…」という思いが頭の中で繰り返される。しかし、もう手遅れだった。壊れたCDのように、記憶の断片が頭の中で再生される。「好きだからだ?」「卒業まで待って、結婚しよう」。二人は手をつないで、イサのいない未来へと歩みを進めていく。
イサは耐えきれず、そのイメージにお気に入りの枕を投げつける。
夏休みが始まり、イサはまだベッドに横たわっていた。イサを起こすのが自分の仕事だと分かったナナイは、イサの部屋に駆け上がった。しかし、イサのお気に入りの枕が置いてあるのに気づいたナナイは、これはいつもと違うと悟り、彼女を一人にして、お昼の時間になってから起こした。
コト...コト...コト...
銀食器が陶器に当たるたびにリズミカルな音を立てる。テーブルは再び満員…だが、一人だけ静かにしていた。
イナ:どうしたの?
イサ:…
イナ:???
イナは、一番のいたずら相手が自分のいたずらに付き合ってくれない様子に眉を上げた。がっかりした表情で母親に視線を向け、「どうしたの?」と言わんばかりのポーズを取った。
イネス:イサ、大丈夫?
イサ:… … … … 大丈夫…
彼女は皿の中の食べ物をほとんど口にしなかったため、ナナイは心配になった。
ナナイ:イサ、お腹空いてないの?大丈夫?
イサ:大丈夫だって言ったでしょ!わからないの!
イサの感情は頂点に達し、テーブルに両手を叩きつけ、その言葉を言いながら立ち上がった。
皆が驚き、イサでさえ彼女の態度に驚いた。彼女は観察力がなかったが、自分と家族を大事にしてくれ、彼女が「ナナイ」と呼んでいる老婦人の横に、かすかな涙が見えたと断言できた。
マン・ドドン:!!! … … …
エトワール:ウゥー
ジェイミー:イサ!ナナイに何を怒鳴ったんだ!
そんな風に育てた覚えはないわ。
イサは父親を見つめ、それからナナイを見つめた…彼女は混乱しすぎて、どうしたらいいのか分からなかった。どうやって玄関まで来たのかさえ覚えていなかった。
再び涙が目に浮かんだ。後悔、後悔、そして今度は罪悪感が、それらと混ざり合って流れてきた…
この混乱の中で、近所で一番大きなショッピングモール「セブンス・ヘイル・モール」にどうやって来たのか、ほとんど思い出せなかった。会う人会う人みんながじっと彼女を見ているので、きっとひどい顔をしていたに違いない。
会いたくなかった人が目の前に立っていると、状況はさらに悪化した。残念ながら、雨は彼女の涙を隠せなかった。
「大丈夫?」
あの心配そうな目、あの慰めの声、あの安心させるような手…
[それでも!私はこの人を本当に好きだ。どうして私は、自分が受けるべき愛を得ることができなかったのだろう?]
まるで世界が肩から解き放たれたかのように、彼女は彼のシャツに涙をこぼした。慰めるかのように、「彼」は静かに彼女の背中を叩き、傍観者たちを振り払った。
数分間泣き叫んだ後、彼女はようやく平静を取り戻し、彼の胸を離れた。
[これは絶好の機会だ。今しかない]
「フランシス・ゴンザレス、好きです。2年前に初めて会った時から。恋に落ちたのです。」彼だけに向けられた言葉が、ついにイサの口から出た。
あとは彼に答えてもらうだけだった…
「…ごめんなさい…」
「フロック、どこにいるの?」まるで一人きりでどこかの島に取り残されたかのような、心配そうな表情のメリッサだった。
彼は申し訳なさそうな表情を浮かべ、イサに待つように手を振った…メリッサのところへ行き、聞こえそうな声で彼女と話をした。
イサはショックを受けた。ついにデートすることになったのに…「だめ…私はここにいるべきじゃない」と心の中で思った。「彼が他の女といるのを見るのは耐えられない」と、彼女の心は悲痛に叫んだ。「なぜ私は愛されないの?」
彼女は彼から、そして自分の惨めさから遠くへ、逃げ出した。頭の中では、望まないイメージが次々とよぎった。
怒り狂った家族が彼女を拒絶する。
「彼」が彼女を拒絶する。
メリッサだけが勝利の笑みを浮かべた。




