スローライフへの序章
王国シルアリア
獣人やエルフ、ドワーフ、竜人など様々な種族が暮らしており冒険者や旅人がたくさん来る…らしい。
真ん中には王都があり様々な種類の店や高い塔や壮麗な城を持ち、その中には知識と秘密が詰まった図書館や魔法の学院がある…らしい。
王都の周りには他の街や煌めくエメラルド色の森、荒涼とした砂漠、雄大な山々、そして輝く湖と川で溢れている…らしい。
“らしい”しかないな。それもそのはず僕は生まれてから、つまり約7年ほどこの家に幽閉されている。僕が生まれたこのクラーク家はこの王国内でも有数の名家のようだ。僕の父親クラーク家当主はたいそう見目麗しいがいかんせん女癖が悪いことで有名らしい。そんな当主が平民と一夜の関係を持ち生まれたのが僕レイズ・クラークだ。流石に当主も外聞が悪いと思ったのだろう。世間から僕を隠すことにした…のはいいものの問題はその後だった。ここからは僕の憶測となるが当主と関係を持った平民はたいそう当主を恨んみずっと7年間も復讐の機会を望んでいた…………屋敷を火に放つ程度には。
その日も僕は2階の右奥の自室すやすや寝ていた。だって7歳だ。全然健全に寝る。
僕が起きたのは火が回り始めて随分経った時だった。誰だって死にたくはない。僕だって死にたくない。だから僕は必死で屋敷を駆けた。中に残ってる生存者など探す必要はない。当主も当主の奥様も使用人も探す必要なんてない。なぜならいるわけがないからだ。世間から隠された子供を命がかかっている状況下で助ける奴の方が少数派だろう。第一、自室の二階まで火が回っているのに起こされもしなかった時点でお察しだろう。
僕の目的は生存者を探すことよりも屋敷の金目になりそうな小ぶりなもの、そして食料を取ることだ。厨房にあったパンを、奥様の部屋にある宝石を、ボストンバックに僕がギリギリ背負えるくらいまで詰め込んだ。屋敷の正門側に面している方から窓から消火活動をしている声や当主の怒声、奥様の泣き声、女性おそらく関係を持った平民のヒステリックな声が聞こえてくる。僕は表の人間にバレないよう屋敷の裏手に出れるよう奥様の部屋の窓から飛び降りた。走りながらも僕は爽快感に溢れていた。
だって!なぜなら!!僕はやっと、やっと
自由だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
ご飯は食えるが少なく!!!外にも出れず!!!街に面した窓は開けられず!!!使用人からいじめられることはないが腫れ物のように扱われる!!!そんな中過ごしたはや7年!!!
やっと自由になったのだ。感謝しよう生みの母!!!!!!初めての外の世界だ!はしゃぎまくろう!!!!!!
というか宝石を持っていても換金できるかな!?!?!?でもとりあえず後先考えずに行こう!!!!!
かなり屋敷からは離れた。どうせ隠し子だ。追われるはずもない。
走りに走ったおかげか謎の森についた。それはいいが流石に疲れてしまった。それもそうだろう。パンパンに詰め込まれたボストンバックを背負っているのだ。しかも中身は宝石。ボコボコした皮が背中に当たってかなり痛い。休憩したらいいと思ったがエメラルドの森が存在したことにテンションがあがってしまいパンを咥えながら森散策を始めた。狼のような魔物や妖精、高い木や不思議な草が自生している。そして木にもたれかかってぐったりしている人。
…え?人?
お目汚し失礼します。
当方初投稿です。
「クソデカ感情を持ち合わせた主従関係のBLが…さらに人外が従者をやって従者×主のBLが書きたい」という欲望のままに書きました。
どうにかBLにしようと思います。