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尾道、坂の上神様斡旋所  作者: 柿元俊人
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見えた解決の糸口①

電車のなかでも大学の構内でも、イケメンは物凄く目立つしイケメンだった。


「へえ。じゃあ、お友達を助けるために、危険な思いをしてまで妖怪や怪談について調べているんですか?凄いですね。」


「いやぁ、ははっ、えっと・・・。」


いやあって、露彦さんかよ。




見ず知らずのイケメン男子高校生になんでこんなことまで暴露してしまったんだろうと言うのは、私が一番思っている。




駅まで歩いている間、イケメン男子高校生はそれはそれは優しい笑みで世間話を始めた。


自分には姉がいること。姉は自由奔放で天然で、いつもそんな彼女の思い付きに巻き込まれるていること。だけどそんな姉が可愛らしいと思っていること。



「実は尾道の歴史と伝説についても、姉の課題だったんですよ。だけど、姉が僕に調べてこいって言い出したので。まあ、全然良いんですけどね。僕も尾道に来てみたかったし。」


そう言って、


「あ、これ姉さんに似合いそうだな。」


と、尾道土産の猫クッキーを買っていた。


猫の形クッキー、尻尾の部分をカップの縁に掛けられる、可愛いクッキーである。


これが似合う姉ならば、そりゃあさぞや可愛いだろう。


一人っ子の私としては羨ましい。




そんなこんなで、彼の世間話にすっかり緊張の糸が切れてしまった私は、聞かれるがままに私の方の話しもしてしまった。



友達二人が肝試しをした後、突然失踪してしまったこと。

怪談について調べるのは手詰まりになってしまったこと。

わらわ様という正体不明の怪談があること。

その正体について少しでも手懸かりが欲しくて探していること。



イケメン男子高校生は柔らかい相槌をうちながら、慈愛に満ちた様子で私の話を真剣に聞いてくれた。

まるで神父様である。


そんなイケメン神父系男子高校生にすっかり懐柔された気もするけれど、私は、


「そんな大変な事なら、僕も文献を探すのをお手伝いしましょうか?お友達の事も心配ですし、Two heads are better than one.って言いますしね。」


Two headsなんちゃらがなんの事だかは解らなかったけれど、ご仁が顔も性格も良く、尚且つ頭も良いことだけは解った。



そしてその予測は正しかった。


「これと・・これとこれ・・・。それからこれも載ってそうですね。これもだな。じゃあ、僕、必要そうなところをコピーしてきます。」



司書の先生の力を借りなくても、サクサクっと郷土史や伝説、それから全国の民話を扱う図書を集めたイケメンは、笑顔で大量の蔵書をコピーしに行ってくれた。


・・・・頼りになる人だなあ。


爽やかな背中を見送った私は、残りの蔵書の目次を開きながら深郷山というキーワードを探す。


やっぱり、山をメインに探すと、植生や地形に焦点を当てたものが出てくる。


私は、イケメンが積んでいった蔵書の中から、「山岳地方と庶民信仰」という本を開く。

何となく開いたそこに、見慣れない単語を見付けてじっと見入った。


「猿神・・・・・・?」


猿というのは、あの、動物園で見るようなおサルさんの事だろうか。

犬神とかは何となく聞いたこともあるけれど、お猿も神様になるもんなんだな。


ぼんやりとそんな事を思いながら読み進める。


猿には太陽神としての一面や、日吉神社との関係性が見られ・・・・。


ふーん。今までお猿を神聖なものとして考えたことは無かったけれど、確かに、山に棲む動物の中では一番人間に近い気もする。


それならばそこに霊験的なものを見出だすのもありなのか、な?

日吉神社では、猿は神使だとも書いてある。


「お仲間だ!!」


知らなかった。猿って、本当に霊的な力を持った存在なんだ。


「動物園で見てるだけじゃ解んない世界もあるんだなあ・・・。」


ぱらぱらと続きを捲った時だった。



「・・妖怪の猿神・・・・?」


GWに書ききるつもりがこんなことに。


猿神は謎に包まれてて凄く不思議な存在ですよね。

耳袋に、「頭痛を治す」という一点突破の凄い霊験あらたかな猿の神様が出てくるんですけど。

いつか会いたいなあ。

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