優等生イケメン男子校生と図書館は似合う②
さらりと揺れるゆるいウェーブの黒髪の間に、印象的なアーモンド型の瞳がきらきらと覗いている。
白くて染み一つない肌と、すっとした鼻筋と薄い唇がいかにも賢そうで、小さい顔なんてもう、拳くらいしかない。
きっちりと着た制服からでも解る、おっそろしくスタイルが良い。
「・・・・・・・・・・・は!」
一瞬、亜空間に放り出されていた私は、本気で呆けていた。
そんな私を見て、目の前のイケメンは少し悪戯っぽく薄い唇を緩める。
「あの、その本、僕も読みたいなあと思ってて。貴女がもう読み終わっているなら、僕に貸して貰えませんか?」
「あ、はい!どうぞ!」
「ありがとうございます。優しいんですね。」
イケメンは当たり前のように私の横に座って本を読み始める。
貸しといて言うのも何だけど、こんな本に興味がある高校生って言うのも珍しいよな。
私は読み終わった本を隣に寄せる。
と、静かに本に目を落としていたイケメンが、急にこっちを向いた。
「珍しいですよね、尾道の事を調べてるの。学校の課題か何かなんですか?」
「え?!あ、はい!そうです!課題で、えっと、街の歴史とか伝説を調べてて!」
そんな課題が出るのかは知らないが、しどろもどろで話を合わせる。
私の心中なんて知らないイケメンは、
「そうなんですね。大変ですね。」
なんて頷いている。
どどどどうしよう。全然課題とかじゃないし妖怪について調べてるだけだしっていうか知らないイケメンに話し掛けられて心拍数が物凄いんだけどこれ大丈夫じゃないよねこれ!
冷や汗が流れる。
イケメンはにこっと微笑むと、私の手元に残った本を指差す。
「でもそれ、歴史とかはあまり詳しく載ってないですよね。ここは蔵書は多いみたいですけど、一般図書がメインで、郷土史の専門書は多くないみたいですよ。そういう専門書が多いのは、尾道大学の図書館みたいです。」
「え!?そうなんですか?!」
有難い情報を得た!
私は急いでバックに荷物を仕舞う。立ち上がってイケメンにお礼を言う。
「あ、じゃあ私、そっちに行ってみます!」
「僕も郷土史の専門書を探していたんです。良かったら一緒に探しませんか?」
にこっと微笑まれて、私は思わず後退りをしてしまう。
「一人で探すよりも、二人で探した方が早いですよ、きっと。」
とどめのように微笑まれて、私は思わず呟いた。
「あ、じゃあ、宜しくお願いします・・・・。」