謎の改変が始まる……。
タイトルは、本当はここに書いていた前書きでした。ホラー度は低めです。
女子高生で体操着ブルマが好きなあなたは、静かな自室で動画を観ていた。
その動画はかなり古かった。映像が非常に荒い。更衣室らしき場所で、女子生徒が着替えている様子が映っている。
背を向けている短い黒髪の女子は、最初から半袖の白い体操着を着ていた。彼女は正面にある収納棚から、水色っぽいブルマを取り出す。
女子は少し屈んだ。長めの紺色スカートを身に着けた状態で、ブルマを両足に通す。スカートの左右を上げながらブルマを穿いて、最後にスカートを脱ぐ。こうすれば、下着は誰にも見られない。
水色のブルマは股ぐりがゆったりとしており、女子のお尻を完全に覆っている。
彼女が半袖体操着の裾を念入りにブルマ内側へと入れたところで、動画は終了する。
着替えの際、擦れる音は聞こえたものの、女子が声を発することは一度も無かった。ただ、音声よりも画質が劣悪なのが気になってしまう。
(映像がはっきりしていればもっと良かったのに……)
あなたがそう思っていると、何故か動画が再び最初から始まった。
しかも、画質が大幅に向上している。
「えっ?」
あなたは何もいじっていない。
新たな映像は一度目と同様、白い半袖体操着を着た女子が、水色のブルマを穿こうとしている。半袖の背中では、白い下着の太めの線が透けていた。
一度目の映像だと、あまりにも解像度が低かった。そのせいで、ブルマから下着がはみ出ているのか、はみ出ていないのかが判別出来なかった。
二度目の今回は、下着が一切はみ出ていないことが容易に分かる。水色ブルマの両側には白い線が縦に二本、入っているのも分かった。
映像は最後まで高画質のまま、終了した。
(ブルマの下のパンツも見られたら良かったのに……)
あなたがそう思っていたら、またも動画が繰り返された。
「嘘……」
思わずあなたは声を出す。恐ろしいことに、今度は画質向上に加え、内容まで改変されていたからだった。
背中を向けている女子が、スカートを一気に脱いだ。
白一色の下着が丸見えになる。ブルマ同様に、お尻を覆う面積が大きく、色気はなかった。
下半身下着の状態で、女子はブルマを手にする。足を順々に上げて、ブルマを穿いた。
半袖の裾をブルマ内側に入れる部分は同じだった。
同じ……ではなかった動画を三度も視聴したあなたは、推測する。この動画は、願った通りに内容が変化する動画ではないか、と。
あなたはすかさず、心の中で強く念じた。
(髪型を三つ編みにして!)
四度目の動画では、ショートだった女子の黒髪が、二本の細い三つ編みが背中に垂れる形に変化している。
「おおっ!」
あなたは推測を確信に変えた。
先にスカートを脱ぐ点は変わっておらず、三つ編み女子が白い下着姿で、ブルマを穿く。動画内のブルマを、あなたはじっくりと堪能した。
「次は彼女を前から映して!」
とうとうあなたは、誰もいない自室で画面越しに声を飛ばす。
動画の視点は、収納棚側から、やや見下ろす感じに変化した。これまでよりも女子との距離が近い。
「この動画すごい!」
真剣に着替える顔をした、三つ編み女子の顔が映る。それなりにかわいい。胸部は小さく、凹凸がほとんど無かった。
スカートを脱いで露わになった白い下着の上部には、小さな白リボンがついているだけだった。
水色ブルマを穿き終えると、女子は今までのように半袖の裾をブルマ内側に入れる。あなたから見てブルマの右上には、縫いつけられた白のメーカーズ・タグがついていた。
動画終了時、あなたは叫ぶように言う。
「今度は彼女を巨乳にして!」
「もう無理ですよ」
「えっ……」
画面から女子の返答が来た。
動画は終わらずに続いていて、女子があなたを見ている。彼女は間違いなく、あなたを認識していた。
「あなたはすでに四回も、私にお願いをしました。私がこちらであなたのお願いごとを叶えられるのは、四回までとなります」
女子の声は淡々としていて、どことなく怖かった。それ以前に、こちらに向かって話しかけていること自体が不可解で怖い。
「五回目のあなたのお願いは、どうなるのでしょうね?」
その言葉の後、画面が一気に暗く染まった。
恐怖心を抱いたあなたは、すぐに動画の視聴をやめた。
この時から丸一日経つぐらいまでは、あなたも脅えていた。それでも、二日、三日……と、何事もなく過ぎてしまえば、動画のことはだんだんと、記憶の奥底へと追いやられて行く。
しかし。
四日後。
あなたは恐怖の続きを見た――。
■
夜十時過ぎ。誰もいないはずの自室。
あなたの前には、彼女がいた。
半袖の体操着と水色のブルマを着用し、黒い髪を三つ編みにして、ブルマの下に白い下着を穿いているはずの、女子。
あの動画内の更衣室にいた彼女は、とても鮮明に映った。
「こんばんは」
声も見た目もそっくりなこの女子は、あの動画の中から出て来たとしか思えない。ただ、実際にそのようなことが、起こり得るのだろうか?
あなたは驚いて声が出なかった。逃げ出したいのに、それが出来なかった。
「私はですね、あちらで誰かのお願いを四回、叶えてあげられると、外に出られることになっています。中から出られる機会をお与えて下さり、ありがとうございました」
ブルマ女子はお辞儀した。
「この前のあなたの五回目のお願いは、私を巨乳にして、でしたよね? あの中でなら、私も自由に変えられたのですが、外だと、媒体が必要になります。あなたの膨らみを分けてもらいますね……」
女子はあなたの胸部に両手の平を、無遠慮にくっつけた。
相手から触られている、はっきりとした感触があった。
けれども、それ以上のことは起きなかった。
女子はあなたの胸部から両手を引っ込める。
「……やる前から分かってはいたことですが、その程度では私に回しても大して変わらないので、頂きませんでした」
あなたは胸部の小さい女子高生だった。
「あっ、あなただって、貧乳じゃないっ! むしろ私よりもっ、小さいしっ!」
どうにか、あなたはブルマ女子に言い返す。
「それは否定しませんが……、他に何か、お願いごとはありますか? 叶えられそうなことをお申しつけ下さい」
「急に言われても……。動画の時と違って、私のほうで何かを犠牲にしなくちゃいけないんでしょう?」
「はい。ですが、そうならない範囲で叶えてあげましょう……」
女子は邪な表情であなたとの距離を縮め、あなたの右手首をつかむ。そのまま上に移動させて、女子自身の平らな胸部に押しつけた。彼女は恥ずかしそうな顔をしなくても、あなたのほうは恥ずかしい。
自由を奪われたあなたの右手は、女子によって、今度は下に動かされる。ブルマの正面まで下げられた頃には、恥ずかしさよりも興奮が上回っていた。
「私は巨乳ではないので挟めませんが、太ももで挟むことは出来ますよ」
あなたの右手は水色ブルマの最下部に向かい、女子の太ももの両側に挟まれる。
あなたの快感は頂点に達した。
「どうでしょうか。喜んで頂けていますか?」
「うん!」
彼女の大胆な行動を全面的に支持する。
「でしたら、あなたの五回目のお願いを叶えたということで、いいですか?」
「うん」
「私、五回目のお願いを叶えたら、叶えた人の体をもらえるんです」
「えぇッ?」
右手を挟まれたまま、とんでもないことを聞かされた。
「ありがとうございます。これまでは、長時間こちらで体を保つことが出来ませんでした。ようやく自由になれます」
「あーッ! やっぱりダメダメッ! そんなの絶対認めないッ!」
あなたは拒否し、右手を引き抜こうとした。それを察した女子が太ももを開いてくれたことで、あなたの右手の束縛が解かれる。
「私はあなたのお願いごとを、今宵までで五回も叶えてあげたのですよ?」
「少なくとも五回目は違うッ! ブルマしかもめずらしい水色ブルマで実際に挟まれたのはすごく嬉しかったけど、そのぐらいで体を奪われるわけにはいかないよっ! ということで、私は別の願いを叶えてもらう!」
「では、どのようなことにしますか?」
「それは……」
あなたは、考える。
考えても結局は、ブルマ好きなあなたの行動原理が変わることはない。その場であなたはしゃがみ、彼女の水色ブルマに顔を埋めた。
「……これだけでよろしいと?」
女子の声には、少し困惑が含まれていた。
「ううん。あなたには、私の体に入ってもらって、私が呼んだら、出て来てこういうことをさせてくれる子になってほしいの」
「それだと、私は完全にあなたの体をもらえないのでは?」
「この五回目の願いを叶えられないのなら、私の体は渡さないってことになるよ? どっちがいい?」
「……分かりました。そのお願いを、叶えましょう」
ブルマ女子があなたに覆いかぶさり、溶けるようにあなたの体の中へと入って行った。あなたには気持ち悪い感覚が伴ったものの、そう感じたのは最初だけだった。
こうしてあなたは、謎のブルマ女子と一体化した。
■
翌日、ベッドで目を覚ましたあなたは横になったまま、彼女の召喚を試してみた。
「出て来てもらっていい?」
「はい。ご主人様」
女子はあなたの胸部から出現し、そのままあなたの上に乗った。服装はブルマ体操着のままで、あなたはそんな格好の彼女に朝から興奮する。
「私の命を救って下さり、ありがとうございました。ご主人様」
いきなりあなたは感謝された。
「んん? どういうこと?」
「ご説明が必要ですね。……元々の私は、あの動画に宿って生きていける程度の、弱い存在でした。そんな私が、ご主人様のお体を完全に奪おうとしたら、ご主人様の体内で私の存在自体が耐えられず、消滅するところでした。ご主人様のお願いごと通り、お体を一部お借りする形だったからこそ、今でも存在していられるのです」
「そうなんだ。でも、私の体の中に慣れてきたら、いつか完全に私の体を支配することだって出来るんじゃないの?」
「それも可能かもしれませんが……私はご主人様の一部になったからでしょうか、こういうことをすると、気持ち良くなることを知りました」
彼女は体の向きを変え、あなたの顔の前で水色ブルマのお尻側をくっつける。
背を向けた彼女の顔は窺えなかったけれど、とても気持ち良さそうにしているように思えた。
「私はもう、ご主人様なしでは生きていけません。今の私のお願いは、今の関係をずっと続けさせてほしいということだけです」
「それには私も、異論はないよ」
あなたにとっても、彼女にとっても、同化はお互いに有益だったらしい。
それから少し日を置いて分かったのは、彼女にはあなたの体の主導権を渡すことが出来るということだった。ただし、その時間は長くて三十分程度。彼女があなたから分離して外に出られるのも、三十分程度。
あなたは時々、彼女に体を貸したり、彼女のブルマでご褒美を得たりする。そんな共存生活が続くことになった。
■
「おはようございます。ご主人様」
体操着ブルマ姿の女子が、あなたの前に現れた。
黒髪は三つ編みで、身に着けるブルマは水色で、胸部は小さい。いつもと変わらない容姿がそこにある。
他の色は考えられないほどに、今のあなたは彼女の水色ブルマに夢中だった。
「今日もブルマをご覧下さいね。それと今日は特別に、ハミパンもお見せします」
彼女は二本線の入ったブルマの端っこを、わざとらしく、ずらし上げる。
あなたの瞳には、水色ブルマからはみ出た白い下着が鮮明に映った。
(終わり)
今回は明るい色のブルマにしてみました。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。