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短編小説どもの眠り場

駆走

作者: 那須茄子

 学校が終わって、陽が暮れ出す頃。私は人気のなくなった坂道で、スパイクシューズに履き替え、今か今かと待っていた。合図はあの太陽が地平線に沈む時。後、数分で今日も溜まりに溜まった、走りたいという動物的本能を解き放てる。


 構える。準備万端だ、今日はいつもよりコンディションが良い。最高の走りが期待できそうだ。

 太陽が今、地平線に溶けた。地につけた足を、勢いよく前に出す。とにかく前に前に。走ることだけに、両足だけに、私を託す。


 走れ、走れ、走れ。

 大事なのは、どれだけ走ったかじゃない。どれだけ夢中になって没頭できたかが、私にとっては意味のあるもの。


 駆けろ、駆けろ、駆けろ。

 ここは私だけの舞台。タイムなんて気にしなくていい。面倒な競争なんてない。私を縛る邪魔なものは、もう振り切った。

 

 さぁ付いてこい、と誰かに向けて呟く。或いは、昨日の自分に、或いは明日の自分に向けての挑戦状かもしれない。


 走れ、走れ、駆けろ、駆けろ。

 あの追われた動物の逃走本能、を見倣って私も。行き止まりがくるまで、精一杯走りまくった。


 


 




 

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