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リヴィニア恋歌  作者: ゆえこ
一章・幼年期編
23/36

22.ギフト

()()()()、あーちゃん」

「昨日はお疲れさんじゃったな」

「体は大丈夫かい?」


「はい、たっぷり睡眠を取りましたので大丈夫です」

魔物討伐&魔石採取翌日、少し遅れて出向いたサイラス様の執務室には他の方々も集合されていた。


魔法を付与するだけなのでサイラス様だけかと思っていたのだけれど…。


「では、早速始めましょうか」

サイラス様に預けていた魔石がわたしの前に置かれた。

「この大きさですと付与できる魔法は一つから二つが限界でしょう、何を付与するか決めてきましたか?」

「はい、反射と気配察知にしようと思います」

「ほう…」

わたしがこの二つを選んだことにサイラス様は興味を示した。


わたしは王子に全ての状態異常無効が付与されたブローチを頂いた。そこにはわたしが再び倒れないようにと王子の気持ちが込められていた。


王子には味方もいるが敵も多い、いつどこで命を狙われるかわからない。だからわたしも王子を守れる物を贈りたかった。


物理攻撃無効、魔法攻撃無効、毒、麻痺なんかの状態異常無効、攻撃系統を防ぐ意味では結界魔法でもいい、もしくは敵意を察知できる気配察知なんかも欲しい。

しかしこれらの魔法全てを付与するとなるとわたしが取った魔石では容量がオーバーし魔石が砕けてしまう。


それに無効魔法はわたしには扱えない。結界魔法も複雑でわたしには扱えない。だったら防ぐではなく跳ね返せばいいのではないだろうか?全てを跳ね返せなくていい、王子なら不意の一発さえ防げればきっと何とかするはず。さらに気配察知があれば不意の一発すら食らわずに済む。

それに状態異常に関してはわたしがいる。大体王子と行動を共にしているのだから王子が口を付けるものには片っ端から鑑定していけばいい。だから…。


わたしは鑑定できることは伏せ、自分の気持ちを説明した。

「きちんと自分の力を見極め、その中でどうしたいかを考え、選択できていると思いますよ」


「しかし…なるほどのう…」

「どうしたランドルフ?」

「いやはやじじいは何も言うまいよ」

「何か気付いたなら教えんか、気持ち悪い」


お爺ちゃんたちはわたしを置いて五人でひそひそと何か話し合っていた。


(今までわしは坊の片思いとばかり思っとったんじゃが、あーちゃんも大概坊の事が好きなんじゃないか?)

(私もそれは思っていました。あーちゃんはよく若の婚約者としてどうのこうのって言いますがそれは建前ですよね?)

(ああ、婚約者を義務として捉えているだけならわざわざ自分から魔石を取りに行かんだろう)

(あーちゃんは自分の気持ちに気付いてなさそうですし、坊ちゃんはあーちゃんの事になると知能ゼロになるから気持ちがすれ違わなければいいんだが…)

(ちゃまは…だめじゃな…。あーちゃんに嫌われないようにすることに一生懸命であーちゃんの気持ちに気付くことはないじゃろうな…)


どうしたのかしら?おじいちゃんたち皆一斉に溜息をつき頭を抱えたのだけれど…。

そして同情と応援が混ざった視線で見つめられてるんですが…。

「あーちゃん、わしらは皆あーちゃんの味方じゃからな」

「は、はあ。ありがとう存じます?」

いったい何を話し合われて、どういう結末を迎えたのか分からないが一応お礼は言っておこう。


お爺ちゃんたちのコソコソ会議が終わりようやく魔法付与に取り掛かれた。

反射と気配察知、二つの魔法陣を生成する。

魔石を祈る様に握りしめ、生成した魔法陣を付与する。

言葉にするのは簡単だけど神経を使う細かい作業だ、魔石はこれしかない、失敗は出来ない。


王子が命を狙われるのは立場上仕方がないのかもしれない、王子の命が狙われないことが一番いい。

そうすれば物騒な魔道具やアクセサリーなども必要なくなるのに。

王子が王子である以上それを避けて通れないのなら、どうか王子が無事でいますように。

王子に危機が訪れた時、どうか危機を回避できますように。

どうか王子が怪我をしませんように。

これからも王子が健やかでありますように。

どうか…


「あーちゃん!!ストップ!!」

「!?」


付与の途中でサイラス様からストップが掛かった。


なぜだろう?

目を開けるとクラリと眩暈がした。


「あーちゃん、付与したのは反射と気配察知ですよね?」

「は…はい…」


サイラス様はわたしの手の中から魔石を取り出し鑑定機を持ち出し魔石を調べ始めた。

「確かに…付与されているのは反射と気配察知…。ですが…」

「どうした?サイラス」

「あーちゃんが付与した魔石です。確かに付与されたのは反射と気配察知なのですが他にも何か付与されたような高い魔力が込められています。あのまま続けていたら魔石が壊れていたでしょう」

「他にも何か?鑑定機で出たのは反射と気配察知だけなのだろう?」

「はい。ですがそれだけではここまで魔力は含んでいないはず。それにあーちゃんの疲弊も気になります。まるで魔力の枯渇を起こしかけている症状です」


サイラス様の仰る通り、わたしは倦怠感に襲われ、眩暈が治まらないでいた。

「あーちゃん、これを飲んでください。これはわたしが開発した魔力を補給できるポーションです」

セオドア様が取り出したのは濃いピンク色の液体が入った小さな筒だった。

わたしは言われるまま小さな筒を受け取り液体をあおった。


「う゛っ…」

ま、マズい!!マズいなんてものじゃない!!何この表現できないマズさは!!

吐き出したい!!吐き出したい!!吐き出したい!!だけど吐き出せない!!


「それを飲めば魔力が回復するので吐き出しちゃダメですよ、少し飲みにくいですがちゃんと飲み込んでくださいね」

わかってます!!わかってます!!ここで魔力の枯渇で倒れる事ができない。だから飲まなきゃいけない。それはわかってるんです!!

だけど体が液体を飲むことを拒否して喉を通らない。


「セオドアの魔力ポーションは昔わしも世話になったがクソマズだからのう…。あーちゃんにはちょっと厳しいんじゃないか?」

「魔力ポーションの味を良くすれば皆魔力枯渇を恐れずガンガン魔力を使うでしょう?そうならないように味は改良しないんです。あーちゃんもこの味を覚えて魔力を枯渇させないよう気を付けて下さいね」


セオドア様の優しさが辛い…。

何とか頑張って飲み込んでみたけれどドロッドロの液体が口の中や喉の奥にこびりついているようで口も喉も胃も全部でマズいって叫んでいる。

だけど倦怠感や眩暈はなくなった。逆に体力が消耗したけれど…。


「どうやら症状も治まったようですね」

おかげさまで?逆に死ぬかと思いましたけど…。


「あーちゃんの魔力量で反射と気配察知の二つを付与した程度では魔力の枯渇を起こすとは考え難い。やはり原因は魔石に注入された魔力でしょう。」

「しかし付与以外で魔力を込める事が出来るんじゃろか?」

「付与は魔法陣に魔力を込めるもので魔石にあまり直接魔力は込めません、あーちゃんが行ったのは魔法陣を付与プラスなんらかの魔法だと思うのですが何をしたのです?」


何をしたのです?と言われましても普通に付与しただけなのですが…。

「本人も気付いておらんか…ひょっとすれば固有スキルかもしれんのう」

「固有スキルですか?」

「そうじゃ、魔法は皆適性のある属性の魔法なら使えるじゃろ?固有スキルは所有者本人にしか使えない特殊なギフトなんじゃ」

「しかし固有スキルは皆持って生まれるとは限らん、選ばれた者、素質がある者に出現すると言われておる」

「あーちゃんが魔力の枯渇を起こしたのはセラトリア領の医療テントと今回の魔法付与…何か共通することはないかの?」


あの時と今回の共通点?なんだろう?

わたしには特別な力がない、何かしたくても何もできない。

わたしには他力本願の最果てにある神頼みをすることしかできない。

そう、つまり

「祈り?でしょうか…」


「なるほど、祈り…ですか…」

「これはまた…」

「教会が好きそうなギフトじゃな」

「うむぅ…」

「ちゃまのパーティーが終わったら会議じゃな」


え?何?わたし何か悪い事した?

王子に内緒で魔石狩りに行ったけど…。


「心配いらんよ、ギフトを授かるなんて良い事なんじゃからな」

「そうですよ、祈りなんてあーちゃんにぴったりなギフトじゃないですか」

「魔力の枯渇を起こさないよう上手く制御できるよう修行しような」


良かった、会議にかけられるみたいだから怖かったけど悪い事じゃないみたいでホッとした。


「それよりあーちゃんはこの魔石にどんな祈りを込めたんですか?」

「それは…」

「「「「「それは?」」」」」



「秘密です」


そう言うと教えるまで食いつかれると思ったけど、お爺ちゃんたちはおやおやといった顔で優しく微笑んだ。



°˖✧:.⁂*⁂.:✧˖°°˖✧:.⁂*⁂.:✧˖°°˖✧:.⁂*⁂.:✧˖°


どうか王子が無事でいますように。


王子に危機が訪れた時、どうか危機を回避できますように。


どうか王子が怪我をしませんように。


これからも王子が健やかでありますように。



どうか…






王子といつまでも笑い合えますように

続きが気になったり、面白いと思われたり、お気に召されましたらブックマークや☆にて評価していただけますと幸いです。


大変励みになります♡よろしくお願いします

ペコリ(o_ _)o))

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