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死神の猫  作者: 十三番目
第二招 Second Voice 真実は裏返る

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ep.50 悪魔の侯爵


 体から煙を出しながら、プーパとビベレは地面に座り込んでいる。

 結局あの後、二匹は追加で三回ほど雷に打たれていた。


 反省の色が見えないプーパと、共同責任で打たれ続けるビベレ。

 流石に限界を迎えたのか、ぐったりした二匹を監視しながら、(つばめ)はミントと連絡を取り合っている。


「どうだった?」


「上に確認中だって」


「はっ。どうせ結果は分かりきってんのにな。(コア)を破壊して消滅させる。それしかないだろ」


 時雨(しぐれ)の言葉を聞いて、プーパとビベレが互いにくっつきながら震えている。


「もう少しの辛抱だよ。連絡が来たらすぐに済ませて、みんなでアパートに帰ろう」


「そりゃ無理な話だと思うぜ?」


 唐突に響いた声と、その場に充満する禍々(まがまが)しい気配。

 空間を()いて現れた手が、燕に向かって伸ばされるのを目にした瞬間──思わず飛び出していた。


「おっと」


「燕!」


 燕を抱えて地面に倒れ込む。

 時雨が燕の名前を呼んだのと、ほぼ同時の出来事だった。


 腕の辺りに痛みが走る。

 目を向けると、破れたローブから流れてくる赤い液体が見えた。

 

「おいおい、危ねぇな(じょう)ちゃん。もし俺様が攻撃を()らしてなかったら、そんな怪我じゃ済まなかったぞ」


「睦月ちゃん、腕が……っ!」


「このくらい大丈夫」


 褐色の肌にくすんだ白髪。

 初めて見るその悪魔は、以前出会った悪魔よりもさらに壮絶(そうぜつ)な空気を放っている。


 愉快(ゆかい)そうな顔でこちらを眺める悪魔の目を、私はしっかりと見返した。


「へえ。嬢ちゃんは新人の死神って聞いてたんだがな。意外と根性あるじゃねぇか」


「それはどうも」


 今にも飛び出していきそうな時雨を腕で制し、悪魔の挙動を注視する。

 先ほど燕がいた場所には、鋭い槍のようなものがいくつも突き刺さっていた。


 おそらく、その一つが腕を(えぐ)ったのだろう。


「あ、貴方様は……!」


「こうしゃくさま!」


「よおプーパ。お前の失態で、レインが黒焦げになってたぞ」


「はわ……! ごしゅじんが、くろこげに……!」


 どうやら、プーパとあの悪魔は知り合いだったらしい。

 呆れた顔で話す悪魔に、プーパはしょんぼりと(うつむ)いている。


「侯爵ってことは、かなりの高位悪魔じゃねぇか。しかもあの気配……」


「……だね。暗黒将の悪魔だと思う」


「暗黒将?」


 今の状況が極めて悪いことは分かっていた。

 少しも気の抜けない空気が漂う中、時雨が悪魔から目を離すことなく、私の問いかけに答えてくれる。


「魔王の次に力のある悪魔たちのことだ。全部で六将いる」


「正解だぜ小僧。当てた褒美に教えてやるよ。俺様の名はアヴァリー。魔王様に最も近く仕える悪魔であり、侯爵の位を持つ悪魔でもある」


 アヴァリーはそのまま地面に降り立つと、こちらを見下ろしながら話しかけてきた。


「で、だ。俺様は回りくどいのが嫌いでな。簡潔に話してやるから、よーく聞いとけよ」


 こちらを見るアヴァリーの目には、間違いなく私が映っている。

 つまり、この悪魔の(ねら)いは──。


「そこにいる死神の嬢ちゃんを、魔界へ連れていく。俺様がここに来た目的はそれだけだ」


 

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