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死神の猫  作者: 十三番目
第二招 Second Voice 真実は裏返る
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ep.44 天使たちの憂慮


現世(げんせ)に、不可解な行動をとる悪魔が現れたらしい」


「え〜! 今日のお仕事はもう終わりでしょ? まさか行くなんて言わないよね?」


「指示は来ていないから、その必要はないだろう」


「だよねー。良かったぁ」


 上空に浮かぶ二つの人影。

 彼らの背中には、それぞれ一対の翼が生えている。


「にしても、悪魔ってほんと見た目のバリエーション多いよねー。ま、あたしは主様(あるじさま)と似た姿の方が、絶対に良いんだけど」


「魔界の王は、純粋な神というより邪神(じゃしん)に近いからな。絶対的な主を持たない世界だと、姿形も自由になるんだろう」


 ツインテールの髪を揺らしながら、指を双眼鏡のようにして(のぞ)き込んでいた天使は、「やっぱ天界が一番だよねー」などと呟いている。

 隣では、凛とした顔立ちの天使が、「全くその通りだな」と頷いていた。


 突然、指の輪を覗き込んでいた天使から、息を呑む音が聞こえる。


「……ユーリ。悪魔と一緒に、死神がいる」


「死神が悪魔といるのは、そう珍しい光景でもないだろう?」


 (なん)せ、死神は悪魔の天敵だ。

 死後の魂を管理する死神に対し、悪魔はそれを狙う邪魔者。

 魂を巡って両者がぶつかる光景も、現世では度々見られている。


 しかし、ユーリの言葉には答えず、ツインテールの天使は真剣な顔つきで覗き続けたままだ。

 相棒のそんな姿に、ユーリも何か異変が起きていると察したらしい。


「リリー。まずは天官庁(てんかんちょう)に戻ろう。あそこなら、誰か対応できる方がいらっしゃるかもしれない」


「たしか今日は、天日(てんぴ)様と暁光(ぎょうこう)様が来られてるって聞いてた気が……」


「太陽を冠する方々に指示を仰ぐのは分不相応(ぶんふそうおう)なのだが……。そうも言っていられる状況ではなさそうだな」


 ただでさえ、今の死界は信用ならない部分が多い。

 ()()()()()()()が起きた日以降、死界の多くは(けが)されてしまったのだから。


 死神側の問題であっても、後々大きなリスクに繋がる可能性は否めないだろう。

 互いに頷き合った二柱の天使は、翼を広げると、そのまま空の中へ溶けるように消え去っていった。


 

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