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30.字。レバンネンとテハヌー。

「それ、さっきも言ってましたね。ワッケーロっていったい何者なんですか?」


 僕は先輩にたずねる。



 少なくとも僕たちと仲良くするつもりがないことは確かだろう。

 しかし、問答無用で襲ってくるあたり、先輩となにか個人的な因縁でもあるのだろうか。


 先輩は腕を組むと右手を軽くアゴに沿えて少し考える仕草を見せる。

 その様子は僕に話をするべきか迷っているようだった。



「あんな目に合ったんです、教えてくれてもいいんじゃないですか?」


 僕は先輩に説明を求める。


「……そうだな」


 先輩は少し考えた後、決断するようにうなずいて言った。


「巻き込まれてしまった以上――いや、それ以前にコンキスタドールとしてキミも知っておくべきだろう。ワッケーロとは、あるプレイヤーのことだ」

「先輩の話し方からすると、ずいぶんと名前の知られたプレイヤーみたいですね」

「ある意味な。ただし、ワッケーロは実際のアカウント名ではない。ただの呼び名だ」

「あだ名みたいなものですか?」

「まぁそんなところだ」

「二つ名とはなんとも厨二的ですね」


 僕はワッケーロと呼ばれた先ほどの人物を思い出して言った。



 全身真っ黒な服装に皮手袋と警棒。おまけにフルフェイスのヘルメット。

 あの格好も厨二的と言えば厨二的かもしれない。


 オンラインゲームではゲーム内でキャラクターになりきってロールプレイをする人も少なからずいるのだが、そういう類の人物だろうか。



「じゃあ、本当のアカウント名はなんていうんですか?」


 僕は先輩にたずねる。


「アカウント名は不明だ」


 先輩は短く、事実だけを述べるように言った。


「え? 不明って、分からないっていうことですか?」


 僕の言葉に先輩はうなずく。


「そんなに有名人なのに誰も知らないんですか?」

「コンキスタで他人のアカウント名を知る方法はフレンドかギルドメンバーになるくらいだ。後は、直接相手のステータス画面を覗くかだな」


 確かに先輩はそうやって僕のアカウント名を確かめていた。


「じゃあ、実質可能なのは、ワッケーロとやらを捕まえて直接相手のプレイ画面を見るしかないってことですか?」

「さっき、奴が現れる前にエクステンドにノイズが走ったのを覚えているか?」


 先輩は僕の質問に答える代わりにそうたずねた。


「はい。故障かと思ったんですが違うんですか?」

「あれはコンキスタのジャミングアイテムだ。使用することで一定時間周囲のプレイヤーの視界を妨害できるアイテムで、その間はテソロの探索を難しくさせるんだ」

「そうなんですか、そんなアイテムがあるんですね……」

「かなりの高ランクアイテムだがな。ワッケーロはそういった妨害アイテムを利用して、その間に他のコンキスタドールを襲っているんだ。捕まえるどころか奴に出会ったことに気付く間もなく襲われているプレイヤーがほとんどだ」

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