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27.応戦。VS謎の人物。

 僕は手に持っていたエクステンドをポケットにしまう。


 ここは間違いなく現実世界の工事現場だ。

 そこに立つ警棒を構えた黒ずくめの人物はどう見ても警備員にも警察官にも見えなかった。



「先輩、これもコンキスタのイベントかなにかですか?」

「そんなわけないだろう」

「ですよねぇ……」


 僕はそう言うと、先輩の半歩前に出た。

 この状況がどういう状況なのか僕にはまったく理解出来なかったが、とにかく先輩は守らなければならない。



 まったく、学校一の美女に背後から脅されたかと思えば、今度はもっと怪しい人物に襲われることになるとは。

 今日の僕の運勢はきっと最悪に違いない。

 まぁ、占いなんて信じていないけれど。


 僕は心の中でため息をつきながら、威嚇するように警棒を構える謎の襲撃者をじっと観察する。



 フルフェイスのヘルメットからは表情を読み取ることが出来ず、無機質な雰囲気はどこか不気味さを感じさせる。

 ヘルメットのバイザー部分にはうっすらと映像や文字が浮かんでいるのが確認出来る。

 どうやらバイザーがディスプレイになっており、ヘルメット自体がエクステンドのようなARデバイスになっているようだ。



 襲撃者はゆったりとした服をきており、はっきりとした体格は分からなかった。

 しかし、決して大柄というわけではなく、身長は僕と同じぐらいだ。

 体格で劣ることはなさそうだが、やっかいなのは相手が武器を持っているということだ。



 僕は藍に殴られたことは何度もあるが、格闘技の経験は一度もない。

 それどころかケンカだってまともにしたことがないのに、武器を持つ相手と戦って勝てるとは到底思えなかった。

 つまり、どうやって相手に勝つかではなく、どうやってこの場を切り抜けるかを考えなければならなかった。



「ヤツの狙いはテソロとはいえ、そう簡単には逃がしてくれなさそうだな……」


 僕がどうするべきか考えていると、先輩が言った。

 その口調はこの状況にも意外と落ち着いているようだった。


「アイツはテソロを狙ってるんですか?」

「あぁ、そうだ」


 僕の質問に先輩が答える。


「ヤツの目的は人を襲うことではなく、あくまでテソロだ。どうにかしてヤツの気を逸らせれば逃げられるのだが……」


 先輩は思案するように言った。


「気を逸らす……。わかりました、なんとかしてみます」


 僕はそう言うと、じっと襲撃者を見据えたままゆっくりと腰を落とし、足元の小石を拾う。


「まさか、石を投げて戦うつもりか?」


 先輩が僕の様子を見て言った。

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