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23.メガネ属性。コンキスタドール。

 それはもう、期末テストのとき数学のテストだと思っていたらタブレットに国語の問題が表示されたときくらいの衝撃だった。


 おかげで一年の期末テストは赤点ギリギリだったのだが、まぁそんなことは今は関係ない。



 背後に立っていた人物は僕がとてもよく知る人物だった。

 といっても相手はおそらく僕のことなんて少しも知らないだろう。

 僕が一方的に知っているだけだ。


 なぜなら、僕の目の前に立つ人物は、登美ヶ丘高校生徒会の副会長で学校イチの美女だった。

 登美ヶ丘高校の生徒なら誰もが知っているであろう有名人だ。



「ひ、氷室先輩?」


 僕は驚きのあまり硬直した体で、なんとか口を動かして言った。


「やはりキミは登美ヶ丘高校の生徒か」


 氷室先輩は冷静な表情でそう言うと、確かめるように僕を上から下まで一度見回した。


 

 そういえば僕は着替えずに家を出てきたので制服のままだった。

 そして氷室先輩も同じく制服姿だった。



 至近距離で見る氷室先輩の制服姿は、男女の違いはあれど僕と同じ制服を着ているとは思えないほどサマになっている。

 学校指定の制服は既製品のはずだが、先輩の制服はぴったりのサイズ感で、おろしたての新品のようにきれいに見える。

 シワも型崩れもなく、まるでオーダーメイドで作られたようだった。



 先輩は昼間、食堂で見かけたときと変わらず優雅で気品のあるたたずまいだった。

 しかし、一つだけ昼間と違う点があった。

 それは、フレームの太いおしゃれなデザインのウエリントンタイプのエクステンドを装着していることだった。


 僕は先輩がエクステンドを付けている姿を見るのはこれが初めてだ。

 眼鏡によって知的さの増したその顔は凛々しく、メガネ属性ではない僕でもドキドキしてしまう。



「え、えっと、二年の末永陽成です……。氷室先輩がどうしてこんなところに……?」


 僕はうまく状況が呑み込めずにそう言った。

 僕にしてみれば、突然目の前に有名な芸能人が現れ話しかけられたようなものなのだ。

 そりゃあ混乱するというものだ。ドッキリにしても程がある。



「気付かれてしまっては仕方ない。実は私もコンキスタドールなんだ」


 先輩は軽く、だけど優しい笑顔を浮かべてそう言った。

 どこか親しみを感じるその笑顔に僕の混乱と緊張もいくぶん和らぐ。

 先輩がダントツで学校一の人気をほこるのは単純に美人というだけでなく、きっと親しみやすさも併せ持っているからなのだろう。



「その、コンキスタドールっていうのは?」


 僕はなんとか現実を受け入れると、先輩にたずねる。


「そうか、キミは今日始めたばかりだったな。コンキスタドールと言うのは、コンキスタのプレイヤーの通称だ」


 先輩は先ほど背後から僕を問い詰めていたときとは打って変わって優しく説明する。


「プレイヤーの間ではコンキスタドールという呼び方の方が浸透しているよ。公式でも使われているはずだが、キミは見ていないのか?」

「えぇ。今日、いきなり友達に誘われて始めたばかりなので……」

「なるほど、そういうことか」


 先輩は僕の説明に納得したようにうなずく。


「氷室先輩もコンキスタのプレイヤー、コンキスタドールなんですよね?」

「あぁ、その通りだ」


 僕の問いに先輩はこくりとうなずいた。

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