名もなき〈槍〉との戦い
...
確率で出現する、ボスドロップの宝箱や魔石は出現しなかった。
「残念ですが、仕方ないですね」
そうつぶやくと、私は転移魔法が発動するのを待つ。
しかし、転移魔法は発動しなかった。
その代わりにいつも聞いているあの中性的な声が脳に響く。
『条件を満たしました』
『EXTRAステージ〈ソニック・スピア〉を解放します』
「!?」
私は突然のことで頭が混乱する。
条件を満たした??エクストラボス??
確かにエクストラボスの話は聞いたことがありますね。
しかし、よりにもよってこのタイミングですか、
さっきのボスの上をいくとなると勝てるかどうか危ういですね。
ボス部屋の奥の方で光が放たれはじめた。
その光は徐々にボスの体を形成していく。
数秒後で光が消えていきボスの姿見えてきた。
それは...
〈槍〉だ。
少し困惑しつつもまだ警戒は解かない。
次の瞬間その〈槍〉はすごいスピードで私の方へ迫ってきた。
「なっ!」
突然の攻撃に私はギリギリのところで避ける。
危ないですね
その〈槍〉は私に考える隙も与えないまま次の攻撃を仕掛けてくる。
そして、その〈槍〉の連撃は続いていった。
私はその攻撃を毎回ギリギリのところで避けていく。
0.1秒遅れてしまったら当たる。そんな世界だった。
このままではジリ貧ですね、何かしないと不味いですね。
〈槍〉は攻撃してくることを止めない。
「ファイアーボール」
私は魔法を打った。
しかし、〈槍〉はそんなことお構いなしに突き進んでくる。
逆に炎をまとってもっと危険になってしまった。
どうすれば、倒せるんだ...
次の瞬間、少し私の反応が遅れてしまい、左肩をかすってしまった。
「あぁぁぁああ!!」
痛い、左肩から力が抜ける。
それを好機と見た〈槍〉はさっきよりもペースを上げて連撃をしてくる。
キンッ
私はその攻撃を細い剣身で受け止めた。
「ハッ!」
吸血鬼の再生能力により回復した左腕でも剣を持ち〈槍〉を打ち払う。
〈槍〉は一時攻撃を止めると、魔法を唱えた。
正確には声は出していないが、確かに魔法は発動した。
〈槍〉が四つに分裂したのだ。
一個でさえも避けるのが難しいのに四つになってしまってはもう不可能だろう。
四つに分裂した〈槍〉は私の方に向かって一斉に放たれる。
三本は避けることができたが、一本は間に合わず急いで剣を受け止めようとした。
だが、手ごたえが全く来なかった。
「!、あれは実体ではなく、幻影というわけですか」
それに気づくことができたが事態が進まない。
どうすれば...奴は何で動いているんだ?...
ここである一つの考えが頭に浮かぶ。
そして私はニヤリと笑った。
これなら倒せる
次の瞬間四つの〈槍〉がランダムに攻撃してきた。
「それは、厳しいですね...」
しかし、その〈槍〉が私に飛んでくる前にこう言った。
「ドレイン」
すると、その魔法をかけた〈槍〉が私に吸収されるように消えていった。
「やった!」
その調子で他の三本にもかけようとするが、〈槍〉の猛攻によりそれが阻まれる。
そしてそのうち一本が私に当たった。
それは不運のも実体のものであった。
「ああぁぁぁあああああ!!」
痛い、痛い、痛い、
再生能力があるとはいえ痛いものは痛いのだ。
〈槍〉が刺さった傷口から血が滴る。
すぐに腕は再生したが、血を失ったせいで動きか鈍っていく。
「セカイ一番」の冒険者を目指すものとしては、ここで負けるわけにはいかない
「フッ!!」
もう一度力を入れなおし〈槍〉に立ち向かう
「ドレイン!」
「ドレイン!」
「ドレイン!」
怒涛の三連発、それが全てうまく発動したにか、残っている〈槍〉は一本になった。
しかし、それでも私はドレインを止めない。
〈槍〉も私の意図に気づいたのだろうか、最後の力を振り絞り、ボス部屋内を暴れまわる。
何度か私の体にかすめる。
しかし、私はそんなことをお構いなしに、ドレインを続けた。
やがて〈槍〉の動きは鈍っていき、床に落ちて沈黙した。
「よしっ!」
とどめを刺そうとして、私は〈槍〉に近づいていく。
しかし、それを阻むように声が聞こえてきた。
『EXTRAボスが倒されました』
『EXTRAステージ〈ソニック・スピア〉をクリア』
『称号〔最速のハンター〕を獲得』
それがいうにはもう〈槍〉は倒されたということだった。
しかし、その〈槍〉は消えずにまだそこに残っている。
まるで戦闘後に、 なかまに なりたそうに こちらをみている! とでも言うように。
殺されかけた〈槍〉とはいえ、武器として使えば非常に強そうだ。
「もらっちゃいますか」
こうして私は〈槍〉をゲットしたのである。
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