カイルの本性
「では、お手並み拝見と行こうか!」
といって、ノエルは部下を手で制し、剣を地面に突き刺して、様子見を決め込むのでした。
しかし、両者の、実力は僅かにカイルのほうが優勢です。
ですが、実力はほぼ同等のように思えます。
長引けばシスティーナの体力は尽きるでしょう。
仮に私程度の実力で、間に入ったところで、足手まといになるのは見えています。
どうすればいいのですか、エリス様――お助けください。
シスター・システィーナに加護があらんことを――
勝負は苛烈を極めた。
実力的に拮抗する二人の一対一の勝負。 故に簡単に決着するなどありえない!
予期した通り、システィーナが防衛気味である感は否めないが、
戦いは拮抗しているといえた。
このまま続けばあるいは!? という思いが湧き上がる。
だけども、それは希望的観測であり、圧倒的に可能性が低いことを私は予見していました。
大の男しかも、人間ですらないそれに、修練を重ねているとはいえ、ただの女性であるシスティーナとでは、最後に残るであろう体力差は、目に見えているのでした。
この勝負システィーナが勝つには早期の決着でなけれならないのです。
ふと、カイルが得物――ハルバードを持つ手を止めます。
顔に不満気な色を張り付かせたままで静止しました。 必殺の一撃を打つ前のため動作にも似た動きです。
これにはシスティーナも動きを止めます。 彼女はここで攻勢に出るのは、カウンターを警戒したのでしょうか?
「どうしました。 ここで動きを止めるなら、罠と分かっていても追撃せざる得ませんが?」
「そうじゃねえ、アンタ。 本気をだしてないだろう!?
見くびられたものだ。 そんな女相手に必殺の一撃もないわけだが?」
「―――っ、必殺にこだわれば慙愧の念が、私を殺すでしょう? ですががこのままではじり貧ですね。 ならば見せましょう、我が必殺の一撃を――!」
「女神マリアよ、我が信仰により、対価を、我は力を欲する――
右手に剣を、左手には天秤を、今こそ裁こう。 堕ちたものを、女神の力をここに――
ホーリー・サイレント・ナイト!(聖なる沈黙を与える夜)
「そう来るか、だが、俺の狙いはカウンターなんだよ――! 受けよ。我が奥義!」
カウンター・デッドリー・キル!(確定した死の反撃)
ともに一撃必殺の攻撃――決まれば、どちらかが倒れるのは確定と言えました。
先に仕掛けたシスティーナに対して、迎撃するカイル。
勝負は一転して、この一撃ですべてが決まる展開へと趨勢を変えます。
ならば勝つのはどちらでしょう?
カウンターが、高等技術である以上、迎え撃つカイルの技量がシスティーナを上回っていなければ、システィーナの一撃が決まるでしょう。
その点で言えば技量に分がある。システィーナに勝利の女神は微笑むのでは?
しかし、ここで、カイルが思わぬ攻撃に出ます。 カウンターと読ませて、システィーナが間合いに入った瞬間に、膂力に任せた一撃――
飛び散る閃光――攻撃を受けたのはどちらでしょうか?
奇策――不意を突いた一撃により、システィーナが膝をつきます。
「くっ、卑怯な――!」
「悪いな、カウンターを宣言したのもブラフだってわけだ」
勝負とは称していても、所詮あくまであるカイルは禁じてに訴えたのです。
不意を突かれたシスティーナが、予想できたはずもなく。左手肩口にかけて出血しています。
なんて卑怯なのでしょう。
ゲームの方が大変で推敲がおろそかな気がします。 後々真剣に見直すと、ちょっと、書き直したい部分モデルかなあとか思ってます。