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冒険者と、女神

信じられない思いで、それを見る冷静な私はーー



「ダメー! こんなことはいけない!」

『いいじゃない。相手はその気だ。やっちゃいなよ!?』



冷静な部分の私が激しい反発を示した。 次の瞬間、ノアを突き飛ばしていた。

自分が何をしたのかわからず、そのまま、駆け出した。



おかしい、こんなことって、おかしい。

私はあんなこと望んでいたはずがない。 だけど、何か体のから溢れ出す衝動には逆らえなかった。



教会の裏側まではしりきって、そこで足を止める。

体が異様に熱いのは走ったせいか、それとも?

とにかくおかしい、自分が自分じゃないような感覚。



身体は火照っており、それを無理やり冷ますために、服のをきたまま井戸水を頭からかぶる。


濡れ鼠である。 それでも動悸は収まらず、息も切れ切れだった。



ふと、乱れた見慣れたはずの銀髪が、ピンク色に発光していることに気がついた。 髪全体がピンクに発光しており、あたかも、自身が人間じゃないような錯覚に囚われた。

 恐らく、見慣れたアメジストの瞳さえもピンクに発行しているだろう?



 それは恐ろしい感覚だった。 自分がいつまたさっきのようになってしまうのかわからないのです。


 いまだ、発光の収まらない髪の毛と熱い体が、まだ完全に症状が治まっていないことを示している。


このままじゃまずい、誰かに相談しないと、ノアはまずい、ノアにあったら、またどうにかなってしまいそうだった。


 システィーナしかいない。 彼女はこんな風な有様の私を見てなんと思うだろうか、幻滅するだろうか?


想像するのは恐怖しかなかったけど、そのまま、といくわけには行かずに、私は教会の裏口から中へとはいっていった。


ノアがいる可能性もかんがえたけど、幸い彼は教会にはいなかった。

目当てのシスティーナは祭壇にむかって祈りをささげている。


 その荘厳な姿には崇拝を感じさせる。


「システィーナ、私、私――!」


 濡れ鼠のような有様で、呼びかけると彼女はこちらに気づいて、そして、私の有様を見ると同時にひどく悲しそうな顔をのでした。


 そして彼女は何も言わずに私をギュッと抱きしめたのでした。


 システィーナは知っていたようでした。 私の秘密を――

しかし、彼女は理由を話してはくれませんでした。



そんな事ががあってから、何日かがすぎた頃の事です。



 旅人のグループが村を訪れたのです。

 

 こんな田舎の村に、何の用があるというのでしょう?


「彼らは野宿よりは、屋根のある建物で一晩をすごしたいのでしょうね」


 システィーナはそう言いました。


 彼女はシスターらしく、博愛精神にあふれているために、彼等を快く迎え入れたのでした。

 幸いに教会は広く彼等の泊まる部屋に困ることはなかった。


 ノアは興味津々に冒険者達と話をしていた様だけど、私はノアとは顔を合わせる気にもなれず、自由時間は自室で引きこもっていた。

 ノアとはあれ以後、さしたる変化もなく、気まずい雰囲気のまま、いつも通り過ごしています。



 翌日の朝のことでした。

井戸で水浴びをしていると、冒険者の一人と思しき女性が話しかけてきました。


 綺麗な女性でした。 システィーナと負けず劣りません。

ただ、システィーナが清純なるシスターであるのにたいして、彼女はとても、妖艶に思えたのです。 さぞ男性にも照るその容姿はとても蠱惑的でした。


 こんなことを思ってしまうなんて、失礼だなと思いました。



「あなたここの教会の子なんだって? 年頃の女の子なんているのね。 こんな辺鄙な教会に、めずらしいわね」



そんなことを言ってきます。30代ぐらいの大人の女性と言った佇まいの彼女は、しかし理性を感じさせる。瞳で私を見ています。


興味本位ではなさそうに思えました。 彼女の瞳には強烈な、意思がこもっており、目を紛らわすことができなかったのです。



「何か悩み事とかない? 年頃の女の子はそういうものを持っているものでしょ?

私も若い頃はそれはもう大変でねーー」



そんなことを言ってきます。 初対面にしては不躾すぎる質問に、なぜか私は嫌な気がしませんでした。


「実は最近、なんともおもってない、幼馴染の男の子のことが妙に気になってしまって…」


 果たして、私はノアのことをなんとも思っていないのでしょうか? わかりませんが、ただ、初対面の人にする会話ではなかったと思います。 ですが、彼女の包容力私は懺悔しました。



「よくない兆候ね。 それが純粋な思い出あればいいのだけど、あなた自身の意志でない場合は振り回されてはいけないわ。 取り返しのつかないことにならない様に気をつけなさい!」


彼女は強い口調で言いました。本当に私のことを案じている様な気がしました。


「大丈夫です。 きっとなんとかしてみます! 根拠はないでありませんが、きっと」


 彼女は私の目を見てから、なぜだか、彼女から勇気をもらえた気がしたのでした。


「そう、なら大丈夫ね。 そういうことなら、私はもう行くわ。 また、話をしましょうね」


そう言って、彼女は去って行きました。


 なんの用事だったんだろうなあと思わなくもないです。 ただ、彼女の目を見ていると不思議と自信が湧いてくる様な気がしたのです。


 それから数日の間、冒険者達は教会に止まり、度々わたしに話かけてくる用になった。


彼女の名前はカルラというらしく、話をしていくうちに自然と仲良くなっていった。


話をしているうちに不思議な包容感を感じる様になり、私は自然とカルラに懐いていったのです。


 それ以来私の例の症状も収まり、ノアのぎこちない関係はなくなり、日常の関係を取り戻しつつあったし、システィーナはいつまでたっても出ていかない冒険者達にため息をついていたました。


 彼等に提供する宿代や食事代もただではないけど、ある程度の宿泊費もとっているはずだった。 それにしてもシスティーナの機嫌が日に日に悪くなっていっていくのは感じるのでした。


 そんなある日のことだった。 システィーナに呼び出されました。


 その日の彼女はどこか真剣さを感じさせた。


 礼拝堂へ行くと、いつも通りの、祈りを捧げる彼女が待っていた。

ノアも呼び出された様で、側に立っている。


 私が声をかけようとすると、システィーナは、そっとこちらを制して、待つ様に促した。


「女神様が降臨なされます」


 彼女は真剣な表情でそう口にしました。



 そういうと、システィーナは敬虔に、膝をつく、私やノアも慌てて膝着いた。

 女神エリス、この教会で祀られている。女神さまです。


 

 私もシスティーナから教えを受けてそだったために、その存在はよく知っているます。



 ただ、実際に存在するとは思っていなかったので、

 いささか意外に思いながら拝謁することとなったのでした。



 エリスは、生き女神で、こんな小さな教会をおとづれることはまずないといっていいのです。


 人より高次元の尊き生命体、それが女神である。


 エリスを崇拝する信者は、世界中にいるらしく。 エーリス教として、深く人々から信仰されていると聞きます。



こんな、神父すらいない、正式な教徒といえばシスターのシスティーナぐらいの教会にあらわれるなど、恐れ多きことなのだと、聞かされています。



「ああ、尊き女神エリスよ、突然の拝謁恐悦至極です」



 システィーナが頭を垂れる。 対する、女神エリス様は直立不動。

 いささか横行に思わなくもないけど、これが女神というものなのでしょう。


「よいのです。わたくしと其方のなかではありませんか、システィーナ。

 頭をお上げなさい。まわりの者も良いのですよ、そうかしこまらなくても」


 そういうと女神エリスは、教会を見下ろすように睥睨した。


 私たちは、姿勢を正しながら表をあげたのだった。


 絶世の美女、というのもおこがましい、人形のようなほどのできすぎた人形ひとがた

 人間離れすらしている美貌の女神様でした。

 ノアが息気を飲んだのがわかる――全くこれだから男は……


 その時、エリスが私の方を見たような気がしたのです。 気のせいだったのでしょうか?


「時に女神エリス様、今回はどういったご用件でしょうか?」


「ふむ、先日からここを訪れている旅のもの達ですが、異界のもの達ではないでしょうか?

怪しい匂いを感じます。 とても良くない予兆を感じます。


 彼らがここを立つ前に、審問すべきかと考えています」


「なんですって! あの旅人達が、異形の者だというのですか?」


「そこまでは申しておりませんが、よくないものであるのは確かでしょう?


 シスター・システィーナよ。

 神託を命じます。彼らの化けの皮を剥がしてご覧なさい。


 女神は高圧的にそう言い放った。

 そのカリスマを含んだ。怒気に私は恐怖せざる得ませんでした。


 私が書くとどうにもバトルの方によっていくので、次辺りでバトルシーンが入ります。

定時更新はしないつもりなのですが、まあ、導入部分は完全に恋愛もので、盛り上がるシーンもないので。

 とりあえずは、更新していきます。


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