女神の事情
そのまま、私の意識は遠くなり――夢へと落ちていきました。
『セリカ、セリカ――、アンタだまされてるよ!」
夢の中には普段見ることができない。 もう一人の私がいました。
ピンクの髪の毛と目、妖艶で艶やかな色気を例える。
まだ少女といえる女性が私の前にいました。 私は特にスタイルがいい方でもないのですが、彼女のスタイルは素晴らしく豊満な身体に、強烈な色香をたたえてす。幼女なのに……
『セリカは、今は頭がおかしくなってるけど、アイツはお母さんなんかじゃないよ。
まあ、今のセリカに言っても無駄なんだろうけど、システィーナも厳密に言えばママじゃないんだけど、アイツよりはずっと母親だと思ってるわ』
セリカこのままじゃ本当にダメになっちゃうよ。
システィーナや、ノアや本当のママのことも、全部忘れちゃうんだからね!?
私が隙を突いて、アイツを殺すから、セリカは、見ているだけでいいよ。
だから身体の主導権を一瞬でいいから私にわたしてね。
いい、私の言うことをよく聞いてね、アイツはきっとパパのところに、セリカを連れて行く。
アイツ笑うと隙だらけになる癖があるから、そのときがチャンスよ。お願いね』
夢から覚めた私は、大樹の根元にいました。この世界葉大きな一本の樹には具組まれてるという説があります――本で読んだことがある、大樹――ユグドラシル。
恐らくこれがその樹なのでしょう。
目の前には上機嫌なエリス様(お母さん)がいます。
私の頭の中はぐちゃぐちゃで、何故か、どこにもおかしな事はないように思えました。
そう、いままでずっとここで暮らしてきて、ここでエリス様と過ごしてきた気がするのです。
「ウフフフ、もうすぐ、お父さんが帰ってくるわよ。
早速夕飯の準備をしないとね。
知ってる。セリカ、この世界はユグドラシル。によって保たれているんだけど。
私は女神の特権でここで暮らすことにしたのよ。
うふふふ、誰も邪魔できない私たちだけの場所、でもかつて、ここに入れる人間もいたのよ。 それが貴女のお父さん。
賢者ユリウスよ。
当時私は、その美貌から、魔族の王――魔王から求婚されていてね。
魔王ってのがすごい碌でなしで、冗談じゃなかったわ。
でも魔王の力は強大でね。 私は人身御供として、天界から魔界へ落とされる寸前だったのよ。 天界でも魔王の力を持て余していたのよね。
そこに現れたのがパパ、私は魔界に行きたくない一心で、偶然ここを訪れた人間界の賢者――お父さんと取引をしたの。
魔王を倒したら、パパの物になるって、まあ、所詮は人間だし、期待してなかったわ。
でも賢者ユリウス(お父さん)は見事に魔王を討ち倒したわけね。
さて、ここで、二つの問題が生じちゃったのよ。一つは魔王は魔界の王、当時私と婚約関係にあった彼との交際を一方的に解消したどころか、私は賢者をたきつけて、魔王を暗殺したという濡れ衣を着せられてね。 大問題になったわ。
魔界から魔王を慕う物の蜂起――約100年前に起こったとされる。聖魔大戦――
その戦いは50年間続いたわ。
天界の勝利で終わったその戦争、人間界も巻き込み、3っつの世界に手痛い爪痕を残したの。
もう一つの問題は、魔王を暗殺したユリウスが魔族と駆け落ちしてしまった事よ。
それはもう落胆したけどね。ユリウスは、結局、その魔族はすてて私の元に返ってきてくれた。
でもユリウスには魔王暗殺の咎があったの、その呪いでいまもこのユグドラシルに封印されているのよ。
彼の咎を解くためには、魔王の息子を倒さなければならない。
かの悪魔を倒せるのはやはりユリウスしかいないわ。
ユリウスを復活させる方法は実はあるのよ。それは、娘の貴女が鍵になるって事よ。
ウフフ、待ち遠しいわ、もうすぐその刻が来るの。もうすぐユリウスが復活する』
どこか恍惚とした表情で、陶酔した彼女は一振りの剣を取り出した。
これこそが賢者ユリウスの愛刀――ラグナロク(天魔を別つ最強の英雄譚)――
ユリウスが、魔王を切り裂き天界と魔界の袂を決別させた最強の聖剣――
だからこそこの名前がついたとされているわ。実際に、世界さえも切り裂く力があるとされているわ、ウフフフ。
これで、ユリウスの呪いさえも断ち切ることができる。私はそう考えたの?
でもね、私には使えなかった。 やっぱり真の力を発揮するには、本人で、ないとダメだったわ。 でもね。 娘の貴女なら使えるんじゃないの!?
私はそう考えたのね。
そうね、この剣でユリウスの棺をバッサリやっちゃってちょうだい。
貴女が、この剣を使える年齢になるまで待ったのよ、壮絶な計画だったわ』
そう言って、エリス様は、長い話、墓地のような部屋へと私を連れて行き、棺を私に見せました。かなり豪奢な棺でした。
私には、先程の剣――ラグナロクが、わたされます。
「お願いね。私の頼みを聞いて♡」
剣をとる。力が溢れてくるのを感じた。 だけど、も、私の半身が強烈な衝撃を発した。
恐らく、私が魔族――サキュバスの娘であるということ、それがこの聖剣に反発しているようでした。
『きゃああああ――あつい――身体が焼ける。覚えてろよ、駄女神――!』
そう言ってる間にも、シリカの声はだんだんと弱々しくなっていきます。なんとかしないと――! 私は棺桶をに剣を突き立てました。
ですが、ビクともしません。
「チィ、やっぱり混ざり物じゃダメみたいね」
女神エリス様が悪態をつきました。 私を見る目がひどく醒めていきます。
「うふふふ、いいこと思いついた、やっぱり母親の方を殺しちゃおうっと、そしたら、私が正妻、ユリウスも、多生のことなら許してくれるわよね。
きっとね。アハハハハ――!」
その瞬間――シリカが動きました。シリカには扱えないラグナロクを使い。エリスに斬りかかったのです。
ビューはこちらの方が話の本題に入ってきたこともあって伸びるのですが、評価が低いままなのが気になります。 まあ、ビューの高さの方が気になってしまうのですが、私は。




