私って他の娘と違うの!?
ネット小説大賞九というものについて、今日知ったので応募しようかなあと思って書きかけの者を投下
私は他の人とずっと同じだと思って育ってきた。だって言うのに……
そんな平穏な生活はあっという間に崩れ落ちてしまった。
どうしてこうなってしまったのか、それを後悔せずにはいられない。
私は父親の顔をしらない。
教会には、私の母親がいる。 彼女に連れられて、私はこの教会に来て、今まで育ってきた。
彼女――システィーナの顔が似ていないのを疑問に思ったことはなかった。
彼女の艶やかな金髪も陶磁器のような白いなめらかな肌も、わたしにはないものだったけど、彼女優しかったし、疑問に思ったことはなかった
ただ、彼女は私を娘にするのは少し若すぎて、そのことに不思議な違和感をおぼえることはあったのかもしれないけど、私はあえて気にしないようにしていたのかもしれない?
私はセリカ、この小さな教会のシスター・システィーナの娘、私にとっては世界とは狭いもので、名もないこの小さな村だけが私の世界だった。
教会の娘だった私は、システィーナに勉強を教えてもらいに来る。
幼なじみのノアだけが、友人といっていい関係だった。
ほかの村の人たちは遠巻きから私を、ながめるだけで、近寄ろうとはしない。
システィーナに一度、なぜ村の人たちは私と話したがらないのか聞いたことがあったけど、彼女は悲しそうに首を振るだけで、理由を話そうとはしなかった。
ノアはシスティーナが好きなのか、毎日教会に授業を受けに来る。
ついでに私をからかったりして遊ぶのだけど、私はどこか鈍い子供で彼の活発なイタズラにはついて行けていなかった。
どこか後ろめたい思いがあったのかもしれない。 なぜかはこのときはまだ気づいていなかったけど……
朝は礼拝堂でお祈りをする。
この教会は女神エリス様を信仰しており、困ったことがあれば必ず、そのお手を差し伸べてくださるのだそうだ。
私はまだ見たことがないけれど、驚いた事にシスティーナはエリスさまにあったことがあるらしい。 とても美しい、女性の女神なんだそうだ。
もちろん人間ではなく、羽の生えた、天上の神だ。
一度お会いしたいものである。 私は今日も祈る。
エリス様――見守っていてくださいと――この何気ない幸せが続きますようにと……
お昼からは、教会のシスターであるシスティーナは、読み書きのできない村の人相手に、勉強会のような者を開いていた。
ほとんどが私と、ノア、村の子供が何人か、偶に大人の人も勉強に来る。
この村で読み書きができるのは村長とシスティーナだけにかぎられる。
システィーナは村長の娘で、私の母親だ。
部屋にはそれなりの数の本があるけど、うち以外で本を持っている家をみたことがない。 規模が小さいために、読み書きできる必要があまりないといえる。
私はたぶん、死ぬまでこの村で暮らすんだろうなあと、ぼんやりと思っていた。
読み書きをおぼえる必要なんてあるんだろうか? ふとそんな疑問が口をついて出そうになるけど、思いとどまる。
システィーナは大事な母親である。
それでいて聡明で、私なんかよりずっと頭が回る。
彼女がそう考えているなら正しいのだろう? どうして文句を言う事ができるというのでしょうか?
授業が終わると剣術の勉強だった。 これはますます目的が分からない。
こんな小さな村で、剣術……狩りのやり方ならまだ、わからないでもないけど。
だけれどもシスティーナは厳しい狩った。まるで英才教育でもしているかのように、
私に多くのことを教えていく。
「セイ――!」
教えられた、かけ声とともに、システィーナめがけて、練習用の木刀を振るう。
普段は型とか素振り、基本的なことがメインだった。
けれども偶に思い出したように、練習試合をする。
打ち出した剣術を受け流されて、私はたたら踏む。
打ち込みは空をきって、身体が中に浮く。
転びそうになった私をそばで見ていたノアが優しく支えてくれる。 少し顔が赤くなったのが自分でもわかった。
体制を立て直した私にシスティーナは言う。
「もう一度、かかってきなさい」
システィーナは、乱れた長い髪を正すと、再び剣を構え直した。
長い金髪が光に反射して、艶やかに汗を飛ばした。
互いに練習用の模造刀を振るうのだけど、彼女はいつになくやる気のようだ。
「では、いきます――! ハア――!」
まずは距離をつめる。 システィーナは底が見えないほどに、格上の相手だ。
当然のようにこちらの動きに合わせて、対応してくる。 先に攻撃するのはは常に私だ。
素早く賭けより、一撃と見せかけてからの――サイドステップ、ただ正面から突き出されるはずだった突きは角度を変えて、側面から相手の腕を狙う。
私に可能な限りの最上級の攻撃、フェイントからの高速でのなぎ払いだ。
――が、それがどうしたとばかりに、システィーナはお手本のような動きで、剣を払う。
――まだ、おわりではない。 受け流された一撃の勢いを殺さずに回転し、そのまま遠心力をつかって、もう一撃。
カツンと、剣がぶつかり合う音がきこえる。
システィーナが、軽快なステップを踏みこちらの動きに対応してくる。
それに合わせてこちらもステップを踏む。 攻めていたはずが、いつからか攻めさせられていることに気づく。
長い銀髪が揺れる。 対照的に揺れる金髪は、滑るように確実に私の剣を封じてくるというのに、動きがまるで身体について行けていなかった。
私は剣士ではないと思う……対するシスティーナはシスターだけど、この村の誰より強いし綺麗だ。
私とは全く似ていないと思う――そんなことを考えていたからだろうか、
システィーナはの一撃は華麗に、私の剣を飛ばしていた。
「ここまでのようですね。集中力が切れていますすよ。
もっと精進なさい。 セリカ、あなたはできるはずなのですから」
凜とした声が響き渡る。 ここに至って彼女は汗一つかいていない。
ただ、感情を感じさせない人形のような顔で、それだけをいった。
剣術を教えてくれるときは娘の私ですら若干怖いと感じる気迫がある。
そして、厳しい。
このあと魔術の授業も受けるのだけど、彼女はそのあたりの命のかかったやりとりに関しては、手加減がない。
「はい、シスター。 日々精進します」
私の返事を聞いて満足したのか、システィーナはふっと力を抜いた。
「シスター俺も、俺も見てください」
元気のよい返事をしたのは幼なじみののノアだ。
彼はことあるごとに、教会へと通い私と一緒に遊ぶと称しては、システィーナに教えを請う。
まあ、気持ちは分からなくもない。 彼はシスティーナが好きなのだ。
清楚で優しく、強くて気品もあり、学もある。 これが一児の母? だというのだから驚きだ。 彼はそこのところはきにならないのだろうか……
どこか鈍さを感じさせる私に、美人で何でもできる若い母親――
おかしいと思ったのは一度や二度ではない。
だいたい、髪の色も対照的で、金髪と銀髪では、全く逆だと思う。
ノアの気持ちは分からなくもないのだけど、面白くない。
母親を口説きにかかる、幼なじみの少年。 子供としては面白いはずがない。
ノアは平凡な少年だとおもう。
比較対象が存在しないので正直いうと、なんともいえないのだけど……
私と比べても、彼に特別光った何かを感じることはない。
そんな彼がシスティーナに相手をされるはずもなく、いつもの調子で模擬刀を落とされていた――瞬殺である。
システィーナの態度もたいしたものであり、しつこく付きまとってくるこの少年の存在などどこ吹く風である。 大人の男性と見られていない。 もしくは単なる子供も気まぐれ程度にしか思われていないのでしょう。
システィーナは割と鈍感なのかもしれない。 そういうところは私と似ているのでしょうか?
ノアになびくシスティーナなど想像したら寒気がしてしまうけど、いつも全く相手にされないノアはそれはそれで哀れである。
もし、システィーナがなびくようなことがあったら、全力で阻止するけどそれはそれである。 母親の同い年の彼氏ができるようなことは想像したくないのでした。
魔術の授業が始まる。
授業というよりは訓練に近いかもしれない。 主に神聖属性の魔術を習う。
習うものとしては治癒魔術が実用的なのだけど、システィーナはなぜか攻撃魔術もきっちりとおしえてくれる。 スパルタである。
魔術の授業が終わる―― こうして1日がおわる。
そんな日々を繰り返すしていくうちに時が回っていく、そんなあるひのことだった。
ある日のことだった、その日はシスティーナを見ているノアのことがひどく気にかかった。
なぜなのかはわからないけど、胸の中がモヤモヤするのを感じずにはいられなかった。
剣術の授業で、彼はシスティーナにボコボコにされながらも必死に追いすがって、怪我をした。
脳裏をよぎるのは、そんな必死な彼の姿だった。
そんなことを考えていたからだろうか、声が聞こえるーー彼がほしい。
――ノアを自分のものにしろと、その声は言う、はじめは幻聴かと思ったけど、
次第にその声はひどくなっていって。
次第には頭痛もひどくなっていく。 幻聴は止まらない。
私は耐えきれずに、ノアに駆け寄った。
心がおかしくなっているのいくのがわかっていました。
だめだ、止めないと、だけど、私はもう一人の私はささやくように私に言います。
――ノアがほしいと
私に引き寄せられるように、彼に吸い寄せられていく。
呼吸が荒い。 体が火照ってどうしようもなく、彼に近づき囁いた。
「ねえ、わたしのものにならない? システィーナのことなんてわすれて」
自分でもゾクッとするほど、艶っぽい声だった。
自分の行動が自分でも不思議でならなかった。
おかしい…私はノアのことなんて…なんとも思っていない…はずなのに…………
今だって異常に興奮している。 私はおかしい。
しかし、そんな内心を余所に、私の奇行はそれだけでは終わらない。
「ねえ、キスしようっか?」
私がそう言うと、ノアは上気した顔で、意思とはまるで意思の無い人形のように、唇を差し出した。
信じられない思いで、それを見る冷静な私はーー
ヴァルハラシンドロームの連載がありますので、まだストックがないので、不定期更新となります。
R15にするか迷ったけど、きわどい描写を入れる予定が不明なのですが、
まあ、行き当たりばったりでいきます。
恋愛要素を強くするのかバトル面を強化していくのかは、読者の反応があればそれに従って変えたいとは思っています。ヴァルハラシンドロームの方もよろしくお願いします。