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2◇昔のことを語りませんかぁ? その1◇

ほんじつ2つめです




 みんなとは異質の私がこの世界、この国で意識を目覚めさせたのは約3年以上前のこと



 私は人里離れた森の一軒家の傍に倒れていた()()()


 倒れていたというより、そこに転移して突然現れたということ()()()


 その時の私は、お姫様が着るような豪華なドレスを着ていた()()()


 さらには、背中に大きな太刀傷を負っていて瀕死の状態で現れた()()()


 偶々、一軒家に暮らす薬師をしている老人が裏の畑で作業していたから、すぐに発見された()()()


 偶々その老人が、かつて勇者と一緒に魔王を封印した一行の神官様で、治療魔法が使えたことで一命をとりとめた()()()



 らしいらしいって、自分のことなのに思っているそこの君!!!

 仕方がないのだよ!


 だって、私は瀕死の怪我から目が覚めた時それまでのことをな~~~~~んにもおぼえていなかったんだもん。


 覚えていたのは、越智愛李という魔法のないこことは違う世界で生きた女の記憶しかなかったんだもん!!!



 越智愛李は、地球の日本で暮らしていた24歳の女だった。

 ごくごく普通の地味なザ☆日本人な顔をした女性。

 高校生のとき交通事故に合い、その後遺症の為に結婚を諦め、日々淡々と職場の工場の事務処理の伝票を捌く平坦な日常を繰り返すだけの普通の女。恋愛なんて興味ありませんといった、化粧も最低限、おしゃれなんて興味もない枯れた干物のような生活をしていた。

 それがどうして、こんな魔法と剣のファンタジーな世界にいるのか?それはこっちが聞きたい案件である。




私は、死んで転生したのか・・・



でも死んだ記憶はないから確信はないし・・・



今以ってわからない。







覚醒は突然だった





 さらぁっと温かく優しい風が頬を撫でてゆっくり意識が浮上した。

 少し気怠い思いをしながら、ゆっくりと目を開けると粗い木目の天井が目に付く。そして鼻をくすぐるこの香り。

 爽やかな薄荷のような香りが気持ちいいシーツ。


 思わず頭を付けていた枕のカバーに頬ずりをするが、はたっとここで気が付く。


 あれ?

いつの間に柔軟剤を変えたっけ?

こんな香りじゃないよね?

なかったはず?


 お母さんの趣味は、もう少し乙女チックなフローラルな甘い香りの柔軟剤を使用していたはず・・・

 私みたいなお洒落じゃない、枯れ女が、香りだけ女らしいなんて恥ずかしい、いやいや香りくらいいいじゃないって、よく軽い口論してたもん。

 私は、どちらかというとこんな、さわやかな香りが好きだったけど・・・

あれ、いつ変えた???


 開けたばかりでぼんやりする視界を、何度か瞬きを繰り返しながら身を起こそうとした。


「ぅくっ!うっうぅぁ~」


 身を起こそうと腕に重心をかけて動かしただけで、背中から全身に鋭い痛みが走った。

 その痛みたるや、悶絶して体を嫌な汗が伝う。


 痛いなんてものじゃない


 起きようとしていた体は、僅かにも動かなかったけど再びベットに沈み、しばらくは痛みが落ち着くのを苦しみながら静かに待つしかなかった。 


 声も出ない痛み。

 うん、この感じ・・・()()()みたい。


 わが身に何が起きているのか。

 ()()()のように、何か事故でもあったのかな?


 どちらにしても、ここどこ?



 少しだけ起こしたときに見えた室内。

 ここは私の部屋じゃない。



 痛みが落ち着いてきて、改めて横になったまま顔だけ動かして見渡せば、室内の壁は天井と同じく板張りで壁紙を張っているわけでもない至ってシンプルな室内。

 木製の机と椅子があり、カーテンも飾り気のないシンプルな無地の白。

 いくら枯れた干物女でも、ここまでシンプルな部屋じゃない。

 木製の枠の窓は外開き型で少し隙間が空いていて、固定のためか杭が立ててありレトロな趣を醸し出していた。

 窓から流れてくる風のさわやかなこと

中心部に近い住宅街に建つ我が自宅では、考えられない静寂さ。

 人の声も車の通る音も、近所でされていた道路工事の音さえも聞こえない。


 爽やかな風も草木の香りがするだけ・・・



本当にここはどこ?

なんで私は・・・

まるでどこかの田舎の保養所のような・・・?



 そう思っていたら、ぎぃっっと軋んだ音がした。

 窓とは真逆のそちらを見れば、木製のドアを押して入ってくる老人がいた。


 やせてるのによく日に焼けている腕を袖を捲ったシャツからだし、やたら彫りの深いちょっと神経質な顔をしたおじいさん。

 髪は、青味の強いシルバーグレイでちょっと渋いイケオジ感が出てる。


「・・・気がついたか」


 私が目を覚ましていることにさしたる驚きも見せずに静かな目でこちらを見つめて・・・無表情コワイよぉ。

 よく見ると、ちょっとどころじゃない気難しいインテリ頑固親父の匂いがプンプンするわ。

 その目は静かだけど、優しさが見当たらない?

 まるで、警戒対象を静観しながらいつでも対応できるような野生の王者的な?

 いやいや、初見でしょ?こっちが警戒しますってば!


「さて、聞きたいことは山ほどある」


 歳を重ねたそのおじいさんの顔には、重厚感たっぷりなたくさんの皺が存在感を出して、見るからに気難しさを演出している。

 その声も然り。いい声してる。やたら重みのある声だなぁ。


「まずはあんたの身元について教えてもらおうか。

どうやら貴族のようだが?」



・・・・・・?




ん?


キゾク?


え~っと、なんだそれ?


ちゃんと聞こえてますよぉ。


言葉もわかる。



がっ!



「っ、ぁ・・・んっん?」


 声がうまく出せない⁉️

 吃驚するくらいカッスカスな声しかでなかった。

 喉がかさついてヒリヒリする。


 おもわず喉を手で押さえた。

 その持ち上げ、視界に入った手を見てまた吃驚した。


 凡そ、水仕事をしたことがないであろう極めの細やかな肌に、発光しているかのごとくに白い!

 白魚の様な手とはこのことを言うのかと思うようなほっそりとした指に、先についている爪には何も塗られている様子はないのにきれいな形でつやつやして薄桃色をしている。桜貝のような爪っていうのかな?


「・・・・・・何してる?」


 自分の手のひらを裏表に顔の前でひらひらしながら、怪訝な顔でもしていたのか警戒心丸出しのおじいさんが今度は、 奇妙なものを見る目で見ながら手に持っていた器を差し出してきた。


「もういい、まずは薬だ。飲め」


 いや、今は薬よりも水が飲みたいんですけど!このカッスカスな喉に潤いが欲しい!


 そして、私は自分の力では起きれません!

 まず、差し出されたその器を受け取ることさえできません。


 そう思って見上げていたらおじいさんは、溜息をついてから器を持っていない方の手を額に乗せてきた。

 年を取って皺が多いけど、男の人なんだな。

 額に置かれた大きな手はそのまま私の瞼にまで触れて自然と目を閉じた。


「『ヒール』」


 声がと共に手のひらからふわりと温かさと優しい光が瞼越しにも広がり、体全体を温もりが廻った。

 全身をめぐるときに浮遊感を感じたけど嫌な感じじゃなく、子供の時にお母さんに抱き上げてもらった様な安心感のある浮遊感だった。


 そう思っている間に額から温もりが消えてしまった。


「これで痛みは一時的だが軽減される。起きれるはずだ。」


 目を開けると変わらぬ気難しそうな表情で、薬という器を再び差し出された。


 そうは言われましてもねぇ。

 さっき起きようして背中を走った激痛が今も記憶に新しすぎて躊躇してしまう。


「早くしないか」


 感じたとおりに気難しいおじいさんらしいけど・・・

 別に声を荒げたわけでも、大きな声でもないのに従わざる得ない重厚感たっぷりな声。

 恐らくは、何かしら現状の私について知っているであろうことを期待して声に従ってみよう。


 仕方なく恐る恐る腕をついて上半身を起こした。


「っ!!!」


 さっきと違って痛みはない。背中を走った激痛がない。

 何かピリピリしたものはあるけど平気だった。


 そうして薬が入ったという器を受け取ったのだけど・・・


薬・・・だよね?


 なにかを煮出した深緑に茶色のような色味。

 匂いはない。

 うん、それは助かる。

 けど中身を一番近い表現でいうならば、苔の張った古池の水のようなどろどろとしたそれは、薬言われているが飲むのに戸惑いは隠せない謎の液体といってもいい代物。

 チラッとおじいさんをみれば、見るからに早くしろとイライラしている。


 うん、起き上がるまでモタモタしていたからね。

 すいません。

 なんか逆らい難い人だなぁ


ううぅ~っ


 何度かチラチラ、おじいさんを見てぇ、器の中の液体を見てぇを繰り返す。何度やっても、中身が減るわけじゃないけどね・・・

 飲むのに勇気がいる。バンジージャンプぐらいは言い過ぎか、ジェットコースターは、軽いなぁ、何が一番近いかなぁ・・・

「早よせい!!!」


「はっ、はい!!!!」


 目の前の物体から意識を剃らそうとして、なかなか飲もうとしない私にしびれを切らしたのか、いい声に更なる重みを乗せて怒鳴られた。

 いい声の人は怒鳴ってもいい声です。

ハイ

 そして、人を従わせますね。

 覚悟をつける間もなく慌てて器を口に持って行って液体を一気に煽った。


ん?意外と・・・・・・











「っうぅぅぅぅえぇぇぇぇ!!!」


薬とはまずいもの

それはわかっているけど・・・けどさあ

これはない!!!


 今まで私の記憶する限りこれ程まずいものは飲んだことがない!

 ヨモギは好きだし、ドクダミ茶もよく飲んでたよ。

 体に難があったから漢方も飲んでたよ。

でもこれは・・・



最初の無味がフェイントだよぉ~~~~~


 甘味がきてそのあと酸っぱいやら辛いやら苦いやらまた甘いやら・・・後味に塩気がしてさらに口が雑草臭さが残った。

 一度で五味すべてが味わえる・・・お得感全く皆無ですけど!

 液体の匂いが無臭なら、味も無味にしてほしかったわぁ~


きっつ~


「ふぅ、口を開けなさい」


 掛布を握りしめて悶絶している私に、おじいさんがため息とともに今までよりも優しい声で言われ、思わず素直に心の中で『ハ~イ』と良い子の返事をして口を開けたらポイっと何かを投げ込まれた。


「ん?んんっ!」


口に広がる爽やかで甘い味。

薄荷のキャンディーだ!


「ミシアのキャンディだ。子供が薬を飲んだご褒美にいつも口に入れてやっている」


 声だけ聴くと揶揄っているいるみたいだけど、見上げて見た顔の表情は変わりなく無表情に近い。

 ちょっとは表情緩んでもよくない?


っていうか、薬を飲んだご褒美って!


私は子供かっ!

 いや、この薬のんだら後口にご褒美がないと無理!


「薬は苦いが効き目はいい。声も出るだろう?」


「んっん、ぁああぁ?ホントだ!」


 言われて半信半疑に試しに声を出してみると、先程までのカッスカスがなく滑らかに声が出た。

 ちゃんと、かさつきもガサガサ感も無い。


 薬のおかげか?

 案外、このご褒美キャンディのおかげじゃないの?


ちょっと疑っちゃうけど・・・


 あんだけ酷い味のものを飲んだんだから効き目ないとね。


「ありがとうございます」


 暴力的な味だろうが、薬は薬。

 声が出るだけなく、体の痛みもなくして・・・


あれ?


 そういえば体の痛みは、手のひらを額に乗せて・・・


『ヒール』って言って光ったよね?


『ヒール』?


それって・・・





「魔法!!!」



 思わず大きな声出しておじいさんをみたら、さすがに驚いたみたいで目を開いて吃驚してる。


「さっき、魔法使いましたよね!『ヒール』って!あれって回復魔法ですよね。うわぁ~なにそれ?なんで魔法なの?RPGみたい不思議ぃ~」


 思わず興奮してしまった。

 私のお兄ちゃんRPGゲームの王道冒険もののオタクで、私も一緒になってやっていた。

 お兄ちゃんのもっていた少年漫画やファンタジー系冒険ラノベ愛読者だったから、魔法って使いたいなぁって思っていたのよね。

 転移魔法とか隠密魔法とか。

 回復魔法も!


「すごい!すごい。どうやって魔法つかうんですか?もう夢でもいいから!火とか水とか出せるんですか?雷とか!」


「うるさい!」


 興奮して弾丸でしゃべりまくってしまった。

 気が付くとおじいさんは、無表情どころか眉間に皺を寄せて初見、もともとあった顔の皺をさらに深くして『不快』って顔に書いてある


「話せるようになったと思えば、余計なことをベラベラと、私はあんたのことを知りたいんだが?なんでいきなりうちの裏庭に現れた?魔法というならあんたのほうだろ!転移魔法なんて普通のものが使えない魔法で現れたくせに!あんたは誰なんだ?」


うっわぁ~

 額に血管浮き出してめっちゃくちゃ怒ってますね。


 おじいさんの言ったことに不可解なものが多いけどとりあえず私のことを話せって言うのよね。


「・・・すいません。

えっと、私は越智愛李、24歳です。〇〇市××町に住んでいます。ここはどこかの病院ですか?会社員をしていますので健康保険証はあります。お母さんか誰かに連絡をすれば持ってこれる思いますので手続きを」


「おい、待て・・・どこに住んでいる?そんな町聞いたことないぞ。それに嘘の年齢を言うんじゃない。どこが24歳なんだ」


 まだこっちがしゃべっているというのに遮られちゃった。

町の名前を知らない?

年齢を詐称?

失礼な!


 確かに私は、最近のおしゃれ女子みたく若作りしたことなくって化粧は下手だし、仕事はスーツ、それ以外の外出は楽ちんスエット上下かTシャツにパンツルックでスッピンだと年齢よりも更けて見られるけど、嘘つくなって失礼じゃない!?


「私の荷物ってどこですか?それに免許証があるので年齢を確認できます。」


 ちょっとムッとしたのでそのままの感情で伝えたらおじいさんは無言で部屋を出て行ってしまった。

 機嫌悪くされたかな?

 でも、女性の年齢にさすがにあれはないわぁ。


 そう思っていたらおじいさんがなんだからキラキラしたカーテンのような生地をもって戻ってきた。


「ほら、お前の着ていた服だ。

背中は切られていて破れて血がまだこびり付いたままだがな」


 バサッと私の前に投げてよこされたのはきれいな赤いドレス?


 仮装用にしては、たっぷりの生地を使ってある。まるで結婚式で着るようなカラードレス?

 私の着ていたもの?

 結婚する予定なんてないよ?


 しっかし生地にいいものをたぶん絹を使っているだろうに、結構ほつれや引き千切られて破け、ひどい汚れが目立つ。さらには男性のかな?大きな靴跡がくっきりついてるところもある。

これ、どんな状態?


 不思議そうにおじいさんをみたらむっつりした顔でこっちを見ている。

答えてくれる気はなさそうですね。


「私の服ってなんですか?

私こんなの知らない・・・。えっ?ちょっと待って、何?血?なんで?」


 赤いドレスに手を当てれば一部バッサリ切れたところがあって、おじいさんが言っていた血がついてるいうところだろうけど・・・それは上半身の身頃にべったりで明らかにそこだけどす黒くなっていた。その範囲はかなり広い。

こんなに出血してたら・・・


「普通なら死んでいてもおかしくないような出血量だった。

だが、あんたは偶々私が裏庭で畑仕事をしている最中に転移で現れた。あんたが現れた場所には転移魔方陣が薄っすら痕跡あった。あれはあんたの魔力と同じだからあんたが発動して此処まで来たんだろう」


はぁ?

私が使った?

何を?

魔力?

つまり魔法?


ワタシテンイシテキタ?


はい?


なんだって?


わからない

言葉は通じてます。


ただ、内容が理解し難い。


思わずガシガシ両手で頭を掻いた。


 やぁ、なんだこの指通りのいい髪は?サラサラなラベンダー色の・・・


ん?


 思わず掴んだ髪の毛は、パステルチックなラベンダー色

 私は、くせ毛のひどいショートカットの黒髪のはず


 毛先が軽くカールしているけど艶やかで綺麗な、かなり長いストレートヘアー。枝毛なんてなさそう。


「いたっ!?」


引っ張れば痛みを感じる。

私の頭から生えてる髪なの?


 なにこの漫画やアニメ、ゲーム画面でしかみたことのない髪色。


いつの間に染めた?

いつの間に伸びた?


 髪の毛の先をつかんで見つめていたけど・・・、ん?

 なんだこれ?


ムニッ!


 下を向いた私の体についているこの丘。

 うん、私のお胸だわ。

なにこれ、お山が2つ付いてるよ?メロンまではいかないけどグレープフルーツ以上の大きさがあるわ。

 洗濯板のごときまっ平でスポーツブラで事足りていたのに・・・

 なんだ、このけしからんお胸は!?


ムニッ!ムニムニッ


あらまぁ、素敵な弾力。

それが私に体についているとは・・・


「えぇ~!!!なにこれ!髪も体もなにこれっ!

おじいさん!鏡どこですか?出来たら姿見で!!!」


 私が奇妙な行動をしだして、怪訝そうに・・・いや胸を揉みだしたら引いていた、おじいさんに叫ぶように言ってしまった。

 おじいさん、年齢しらないけど、ごめん。後で落ち着いたら謝罪するから取り敢えず今は私のこの恐怖ともとれる心もとない感じを・・・どうにかしてほしい。


「・・・あっちにあるぞ、って、オイッ!!!」


 おじいさんの返事を聞くと、ガバッと掛布を跳ね飛ばすように起き上がっ、て飛ぶように駆け足でおじいさんが入ってきた扉を開けて指さされたほうに向かう。

 おじいさんが驚いたように声を引き留めたけど、無理!

 もう、頭がどうにかなりそうなんです!

 薄い板の扉をバタンと大きな音を立てて飛び出すと、そこはリビングのようで陽光がサンサンと注ぐ明るい室内だった。しかし、私が目覚めた部屋と同じように飾りっ気のない部屋。

 その中に細長い木枠の鏡が部屋の隅にあった。


 ゆっくりとその鏡の前に立ち、全身を見る。


 ああ、おじいさんが年齢詐称するなって言ったのは・・・

 こういうことか・・・


 鏡の中に写っていたのは、





 きれいなパステル調のラベンダー色の艶やかなロングの髪に、ちょっと吊り気味の大きな瞳は灰色かかった緑で、小さな顔に滑らかでほんのり紅潮している頬、小さな口にぷっくりとした唇は何もつけてないのに赤々としている。着ているのはシャツワンピの様な服でダボっとしているけど、肩から流れる体のラインはとても華奢なのにさっき確認した通りこんもりと存在を主張しているお胸、手も足もほっそりとしていて見える範囲でも透けるような白さの肌・・・





 鏡に映る顔はとても驚いてる。


 腕を持ち上げて手のひらを頬に当てると、鏡に映っているのも頬に手を当てる。


 ペタペタと両手で何度触っても、鏡の中でも同じ行動が写るだけ・・・




 私が呆然と鏡の目で佇んでいると、おじいさんが後ろからやってきた。


「──何してるんだ?」


 おじいさんの顔はさっきよりも表情がでている。なんか心配してくれてるのかな?





「・・・・・・・・・・・・ねえ、これ誰?」







 越智愛李は、純粋日本人のうっすい顔した黒髪黒瞳の24歳である。

 でも、この鏡の中には迷子のように泣きそうな顔をした、










15,6歳の美少女がいた。



























読んでくださりありがとうございます

また18時に投稿予定です。

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