再会
「嗚呼、そうよ。」
「師匠、どうかしましたか?」
「すっかり忘れていたわ。」
「何を?」
「リュウの存在を。」
「へっ?」
サラリと言いますが、今なんと言いました?
リュウって言いました?
リュウってまさか。
「リュウ様、ですか?」
「えぇ、リュウったら予定より早く帰ってきてね、1週間前に帰ってきて、レイの事を探し続けてね。暴れ回りそうになったので、説明したのよ。」
「説明したって。」
「レイが危険な覚醒へと望んでいることを。」
えええーーー!
リュウ様に言ってしまったんですか!?
絶対に言わない方がいいからって、リュウ様が留守の間にしたのに!!
リュウ様が知れば邪魔してくるのは間違いないからって。
「なんで!?なんでリュウ様に?」
「リュウが暴れ始まるからね。まぁ、あの人に止めてもらえるけどできるだけ回数は少なくしておきたいから、話しておいたのよ。いつかはバレてしまうし。」
「それはそうですが。」
「まぁ、この部屋にリュウは入れないから、それはそれで暴れそうだったけどね。でもレイに何かあったらいけないと思ってやめたけどね。」
それはよかったですけど、ええっとつまり、1週間前から知っててイライラしているリュウ様がいるということですよね?
うわー。
「会いたくないですね。」
「ふふふ、気持ちは分かるわ。私も同じ立場だったら会いたくないもの。でも、今回は会ってあげて。」
「師匠。」
「レイが目覚めたことですっかりリュウの存在を忘れてた私が言うのもなんだけども、本当に心配してたから。目覚めなければって。」
「それは。」
それはそうかもしれない。
私が逆の立場だったらやっぱり心底心配するもの。
今回のだって、たまたま運が良かったのよね。
今までの経験がたまたまいい方向に進んだからこうして覚醒もできて、そして、元のまま目覚めることができたのだから。
本当に運が良かっただけだものね。
そんな運任せだったなんて知れば、心配もするし、怒りもする。
仕方がない。
「リュウ様怒ってましたか?」
「まぁ、ね。まぁ、それよりも心配の方が大きいみたいだったけども。怒るのは覚悟しておいた方がいいかもしれないわ。」
かもじゃなくて、確実ですよね。
はぁ、まぁ、覚悟も決めました。
リュウ様と再会するとしますか。
気分的には再会って言うほどではないのですよね。
結局の所ずっと寝てたものですから、つい昨日会ってって感じなので。
師匠は苦笑しながらもリュウ様を呼んでくれ、数分経たないうちにリュウ様があらわれました。
しかし予想は遥かに外れ、怒鳴られることも、抱きしめられることもなくただ静かに部屋に現れました。
その後も私を見ることも無く、ただただじっと床を見ています。
逆にこっちの方が怖いんですが。
あのリュウ様がなんにも言わないなんて。




