神様
「あーあ、帰っちゃった。」
真っ白の世界で、1人少年は笑う。
そして一瞬の間に少年がいた場所には青年が立っている。
「いや、しかし、やはりあの子の魂はいつ見ても美しかったなー。」
思い出されるのは先程までいた彼女と、もう、数百年も前の女性の姿。
初代と言われている少女の姿。
「ふふふっ、どうも彼女はいつだって強いんだよね。」
最初の彼女も怒ってた。
勝手に勇者に仕立てあげられた彼を思って泣いて喚いて。
私にその力をくれと怒った。
だからあげたのだ。
破壊の力を。
なのに、彼女は結局全てを破壊せず、ただただ護るためだけに使っていた。
それは彼女の子孫たちもまた同じこと。
「そして、また怒られた。」
しかし、前回とはまた怒り方が違った。
他の世界を知っているからか、他にも目がいき、怒っていた。
だから前回とは、違う力を選んだ。
「しかし、あの勇者め、違う世界まで飛ばすとは。」
彼女が生をまっとうした後は私の元へと連れてくるはずだった。
だからこそ、力を与えて目印にしたのに、なのに、なのに。
あの勇者は、それを許さず、自分がもう二度と会うことが出来なくなるかもしれないのに、それなのに、彼女の魂を他の世界に飛ばしたのだ。
本当に腹立たしい。
人間のくせに小癪なと、何度も思った。
しかし、思ったところで後の祭り。
他の世界には干渉することは出来ない。
ましてや魂を連れてくるなど出来るはずがない。
それが分かっていて飛ばしたのだ。
自分の愛した女性を誰にも盗られまいと。
「本当に独占欲の強いことだ。」
しかし、まさかこんな形で出逢えるとは。
魂の形は複雑になってはいたが、輝きは変わらない。
まさか、飛ばした本人が戻すとは思わなかったがな。
「まぁ、本人は気づいていないがな。あの血筋に産まれたことが誤算だったのかもしれないな。」
前世では、奪われた血筋に生まれるとはこれだから面白い。
まぁ、今回は奪われることは無いだろう。
なんたって、奪った本人なのだから。
「まぁ、いい。気長に待つさ。」
今回もちゃーんと目印を付けた。
生きている間は見守るだけでもかまわない。
しかし、今回は飛ばす時間など与えずに奪うつもりだ。
さてさて。
「どうするのか見物だな。」
どうせ、結局邪魔をするのはわかっているからな。
「本当に厄介だな。勇者は。」
勇者というより、あの魂を持つものがだがな。
神にさえ抵抗しようと言うのだから。
「まぁ、まずは世界の問題を解決しなければならないがな。」
どうするかは見物。
退屈しのぎには丁度いい。




