目覚め
アーニャさんが言うには私は1ヶ月もの間眠り続けていたようで、どうやらそのせいで喉が枯れていたようだ。
今は少しづつ普段通り喋れるようになってきた。
「レイ様が寝続けてサーリナ様も何度も見にこられていました。」
「師匠が?」
「はい、泣きそうな顔でレイ様の手を握っておられました。」
「そんな。」
「多分、そろそろいらっしゃるかと。」
そうアーニャさんが言ったその後すぐにドアが開き、師匠が入ってきた。
その表情はいつも落ち着いている師匠ではなく、泣きそうな顔で、私を見て目を見開き、そのまま突進された。
「レイッ!!良かった!!良かった!!!」
「師匠。」
「目覚めて本当に良かった。死ぬほど後悔したわ。あなたを止めるべきだったと。」
「そんな、これは私が望んだことで!」
「そうよ、そう。でも、私は反対すべきだった。あなたの師匠として。なのに、私は、私は!!」
「師匠、それでも私はしましたよ。それに、私、ちゃーんと力を得ることができましたよ。」
「えっ?」
私がそう言えば、師匠は驚いて私を見る。
あれ?師匠、気づいてなかった?
「本当なの?レイ。」
「はい。」
神様が言っていたことは本当だった。
目が覚めて分かったことは、私がちゃんと宝玉の乙女として覚醒していることと、どうやれば力を出すことが出来るかということ。
そして、この力は目の前にいる、師匠、前宝玉の乙女達とは違うということ。
今の私は正確に言えば宝玉の乙女とは違う。
本質が違うから。
でも、宝玉を持つものとしては同じなのだから、宝玉の乙女と言ってもいいのかもしれないと思い、とりあえずは宝玉の乙女としておこうと思う。
そう、宝玉が私にはある。
何故、こんな所にしたのだろうか、神様は。
まぁ、いいけども。
師匠にも見えるように少し、前髪をあげる。
見えたのか師匠は目を大きく見開いている。
「それは。」
「はい、これが私の宝玉です。」
アーニャさんから鏡を貰って見てみれば透明の石のようなものが額にあった。
ただの透明な石に見えるがこれはれっきとした宝玉だ。
何も知らないものから見ればただの石に見えるだろうが、宝玉をもつものならば分かるはず。
「これは。なんていうことなの、これは。まさか。」
「はい、師匠の考えている通りです。これは師匠達の宝玉とは違うものです。」
「そんな。じゃあ、まさか!!この覚醒させる方法って!!!」
「そういう事でした。初代様と同じ道をいくという方法だったんです。故に大変厳しい方法だったんだと思います。」
そうだよね。
なんたって、神様にまで会いに行かなきゃ行けないだなんて。
普通は考えませんよね。
でも、今まで失敗してきた人達のなりの果てを聞いてて納得してしまうんですよね。
この方法ならば。
「そんな、そんな!ならば、レイ、あなたは!」
「はい、神に会い、神から力を授かりました。」




