平等の力
「ふっふ、はっはは。」
「えっ?」
「あー、本当に面白いなー。お姉さん、簡単に頷けばいいのになー。」
「そう、易々と頷かないわ。」
睨むように見るが少年はにこにこと笑う。
睨んでも意味が無いってことなのね。
「あーあ。そうだよ、お姉さんの想像通り、存在自体が消えるさ。」
「やっぱり。」
「今まで居たという全ての事実が消えちゃうんだ。でも、それで良くない?だって悪だもん。消えても問題ないよ。」
「そんなの悪だとしてもあってはならないことよ!?」
「なんで?だって悪だもん。いいじゃん。」
「最初から悪だった訳では無いでしょ??いつから、悪となってしまったかは分からない。何かしらの理由で落ちたのかもしれないわ。もうそうなって神にさえ悪だと判断されたのならば倒されるのは仕方がないと思うわ。でも、それまでの存在まで、記憶まで消すなんて、それはやりすぎたと思う。」
「記憶があるせいで苦しむ人がいるかもしれないのに?それでも、お姉さんはあった方がいいと思うの?」
嗚呼、そうよね。
きっと記憶があれば復讐心を産むかもしれない。
全てが無くなるのだからきっと、恨まれるわ。
でも、それでも。
「恨まれたってかまわないわ。」
「また新たな悪が産まれるかもだよ?」
「そうならないように努力はするわ。でも、それでも、なったときは私が必ず。」
「そうなるとどんどんどんどんお姉さんが恨まれるよ?」
「それは。それでも、私は、何もかも消してしまうよりもいい。」
「お姉さん、お人好し?」
「いいえ、違うわ。お人好しなんかじゃない。自己中心的だから言ってるの。」
「は?」
私は私のためにそう言ってるの。
目の前の少年の言ったように別に悪ならば存在全てを消してもいいのかもしれない。
そうすれば、記憶もなくなって苦しむ人もいなくなる。
その方がいいかもしれない。
でも、本当はあったものを、消して平然としているなんて私には出来ない。
そんなことをしているときっと私は壊れてしまう。
誰もが覚えてない中、私だけが覚えてる。
私が消してしまったもののことを。
どんどんどんどんそれが増えていくにつれ、きっと私は狂う。
それが分かる。
だから、嫌なの。
私1人が覚えておくなんて。
だから。
だから。
「私は皆を道ずれにする。」
「はっはは。さっきまで責任取れとか、善人ぶってた人の言い草かよ。」
「あら?私は1度も善人ぶってはいないわ。私は私のために言ってるだけ。神が作っておきながら勝手に悪に仕立て上げられてる魔物達っていう事実を私が知って胸糞悪いから責任取れっていってるの。何もかも私が私のためにいってるの。誰のためでもない、私のためよ?」
勝手に勘違いしないで。
私はあの日から決意したのだから。
私は私のために生きるって。
私が人を信じたいから力をつける。
私がリュウ様たちを救いたいと思ったから今ここにいる。
私がしたいと思ったから。
誰から言われたわけじゃない。
私が、私で考えて行動しているの。




