神様
吸い取りすぎて死ぬ?
えっ、そんなこと誰も言ってなかった。
「あー、知らないんだね。ってことはちゃーんと教えは守られてるってことだね。」
「教え?」
「そう、最初の女性に神が言った教え、宝同石は愛し愛されるものだけに渡せって言うの。」
「あっ、それは、宝同石が一生で1度しか出来ないからじゃ。」
そう問えば神様はきょとんとする。
えっ、違うの?
「なにそれ?宝同石は何度も作れるでしょう?嗚呼、力が弱くなったから1個しか出来なくなったのかな?」
「えっえっ?」
「初めの子にはさ、何個も作れたはずだよ。なんたって神様に近いんだもん。でも渡す相手は考えなくてはならないよって言われたんだよね。」
「渡す相手?」
「そう、宝同石はその名の通り宝玉と同じ石。つまり、宝玉と全く同じ見た目なんだよね。でもその中身が違う。宝同石は持ってる奴から魔力を吸い上げてそれを宝玉に渡す。そういうものなんだよね。んでもって、その宝同石を宝玉の持ち主、えっと宝玉の乙女かな?宝玉の乙女に対して害をなす、邪悪な思いをもってるとさ、遠慮なく全て吸い尽くすようになるんだよね。」
「えっ??」
今なんて?
吸い尽くす?
うそ、そんな恐ろしいものなの?
宝同石って。
「嗚呼、勘違いしないで、あくまでも宝玉の乙女に対して害をなすものだけだから。たとえば、宝同石を使って宝玉の乙女を脅してやろうとか、兵器として使ってやろうとかね。そういう奴らが持てば直ぐに吸い尽くしてカラカラになってさ、死んじゃうの。」
「そんな!?」
「まぁ、一種の呪いだよねー。それてさぁ、なんでそうなったかって言うとさ、最初の女性を神様が心底愛してたからなんだよね。でも彼女は勇者を愛してたし、その為なら神だって利用してやるっていう人だったんだよねー。」
初代様。
皆の話を聞いていれば優しく繊細な人って思えていたけど、実は結構強かだったんだ。
神様さえ、利用してやるって。
「まぁ、そんな彼女だから、神様は自分の1部を植え、元に戻してやったんだけどさ。それでも悔しいからその力をさらに高められる宝同石に一種の呪いを付与したんだよね。」
「それが?」
目の前の少年はにっこりと笑う。
「始まりが女性を愛した神様の一部だから、だから正しく力を受け渡せるのは宝玉の乙女を心の底から愛しているものだけなんだ。それが以外のものは宝玉を持たせるためだけの餌となるんだ。」
「餌。」
「そう、餌。餌だから吸い尽くしたって問題ないよね?」
にっこりと笑う少年が怖くなる。
神様って言ってたのは本当だと思えてくる。
神様は時には残酷だ。
でも、それが当たり前。
だから、さらりと当たり前のようにこんなことを言えるのではないか?
そう思える。
「嗚呼、そんなに怖がらないでよ、お姉さん。実際にはちゃーんと初めの人が神様の話をよく聞いて宝同石を渡す人は愛している人だってなってるから、餌になったやつは早々いない。だからそんなことがあるだなんてみんな知らないんだし。まぁ、宝玉の乙女自体が少なくなってるみたいだしね。ますますそんな話も聞かないかー。」
「えっと、その。その愛って?」
「その愛は恋愛でも親愛でもかまわないんだ。」
「親愛でも?」
「その女性を愛する気持ちがあればいいんだ。」




