試練
「・・・。」
アーウィン様。
国1番の騎士であり、聖女の護衛として着いてきているので、基本菫の傍を離れないはずなのに。
何故、今1人で来ているのだろうか。
彼らなら私を餌とするつもりだろうから遠くから眺めているだけだと思ったのですがね。
なんでこんなにも近くに。
いや、どうでもいいんですけど。
餌にされようとも。
しかし、面倒なことになりました。
倒した事実を見せさえすれば、いいと思ってました。
さっさと倒してさっさと去って、あの穴の場所までいけばいいと思ってましたので。
説明などする気など一切ありませんので。
とりあえず黙って戻りましょう。
「待て。」
「チッ。」
何故、止められたんですかね?
何故、腕を掴まれたんでしょうかね?
思わず舌打ちしても仕方がないですよね。
「なっ!」
「嗚呼、すみません。戦闘後だったので気が立ってまして。しかし、今、ここで話すよりも逸早く聖女様達にご報告するのが1番では?」
「それはそうだが。」
「嗚呼、ご報告は護衛騎士様からしてください。見ていたんでしょう?私から言うよりは護衛騎士様からお伝えした方が宜しいかと思いますので。」
私が伝えたところで信じないでしょうし。
それに、私もあんたらとなんて話したいとは思わないですし。
私は早くあの黒い穴に行きたいんです。
早くこの夢から覚めたいの。
きっと、あの穴を通れば目が覚めるような気がするのよ。
「しかし!」
「嗚呼、そうですね。こんな私は聖女様のそばに居るのは落ち着かないと。大丈夫です、聖女様の近くには寄りませんので。」
そう言えば納得して離してくれる思ったのですがね。
何故か未だに腕を外してくれないんですよね。
仕方が無いので力任せに外します。
力を入れれば外れます。
「えっ。」
「それでは失礼します。」
逃げるが勝ち。
さっさと逃げましょう。
きっと、ダントさんたちが心配してますし、早く安心させてあげないと。
巨大魔獣を倒したし、しばらくは安心のはず。
だから、早く教えてあげないと。
後ろなど一切見ずに居たから知らなかった。
騎士様の表情など。
急いで走ったので途中、聖女様達とすれ違ったようだが、気にせずそのまま走り、村へと戻った。
すると村の入口ギリギリにダントさん達が居た。
「レイ!」
「ムーアさん!ダントさん!みんな!もう大丈夫だよ!巨大魔獣はちゃーんと倒したからね!」
「なんと!」
「たった1人でかい!?」
「うん!最後の〆は騎士様にされちゃったけども、でもね、でもね、いい所まではちゃーんとしたんだよ!」
そう言えば抱きしめられる。
この数日で慣れたこの締め付け。
「ムーアさん。」
「もう!無茶をして!!」
「俺たちを守るためといえども、1人でなんて無茶をしては駄目だぞ。」
「ダントさん。」
「そうじゃ。レイ、お主はちゃーんと今まで守ってくれていたのだからな。」
「村長。」




