試練
それから数日、ダントさんの家で過ごしたのだが、手伝いをすれば喜ばれ、一緒に出掛ければ誰かしらに自慢しと、なんともむず痒い日々を過ごした。
この世界に来てからは1度もこんなこと無かったから本当に慣れないが、しかし、楽しく嬉しい日々だった。
勿論警戒も怠ってはいない。
中型は何度か出会い、倒してきた。
ダントさん達は心配してたけども、私がこの村に来たのはその為なので。
ムーアさんなんか、本当心配してくれて、村の入口ギリギリまで着いてきて、そして私が帰ってくるまでじっと待っててくれていた。
本当に優しい日々を過ごした。
だから忘れていたのだ。
そろそろ、奴らがやってくる日だということを。
見慣れた印が見え、私は思わずフードを深く被った。
暫く被っていなかったフードを被ることで、ダントさん達は不思議に思ったが、聖女が来たと知って納得した。
そして、私の幸せな夢はここで終わるのだ。
「菫様。」
「あーっ!澪!!ここに居たのね!」
「はい、聖女様の命をしっかりと守っておりました。」
スっと頭を下げてそう言う私に菫は勿論、他のメンバーも怪しげに見てきた。
そりゃそうだ。
今までとは違う態度だもんね。
菫を様付けだし、距離間も遠い接し方だもんね。
でも、これはお前たちが求めていた距離間だろう?
何、怪しげに見ている?
「命って、私。それに、澪、なんで、そんなに他人みたいな。」
「そうだぞ!気持ち悪い。」
「ようやく自分の立場を理解したようだが、これはこれで気持ち悪いし、スミレ様が不審に思われているではないか。本当に屑は。」
なんて理不尽。
しかし、こういう奴等だ。
コイツらは息を吐くように私に暴言を吐いていたもの。
まぁ、慣れてるから別になんとも思わないけども。
でも、初めて目にするダントさん達は何か言おうとしていた。
しかし、聖女様に対して何か言うなんて、それこそ罰せられるかもしれない。
私は無言で顔を横に振る。
ムーアさんは辛げに私を見て、憎々しげに聖女一行を見ている。
嗚呼、やめてほしい。
まぁ、アイツらはそれほど敏感ではないからその殺気には気づいていないが、いつ気づくか分からない。
私は笑って首を振れば、ムーアさんはやはり悲しげに私を見ていた。
さぁ、こいつらがここに来たと言うことは。
「きょっ巨大な魔獣がっ!!!」
カンカンと大きな音がなり、叫ぶ声が聞こえた。
出たな。
巨大魔獣。
今回は私が居たから、村人達は逃げてはいない。
そうだ、私はこの人たちをしっかりと守らなければならない。
コイツらを気にしている暇などない。
「レイっ!!」
「大丈夫!ムーアさん達は絶対に村から出ないで!!」
「ちょっ!澪!!」
「お前、また!!」
お前らの相手をしている暇などない。
私はこの村を守るの。
後から奴らが付いてきているがどうでもいい。
中型で何度か練習したのだ。
きっとできる。
師匠だって言ってた。
失敗するイメージを持つのでなく、成功するイメージを持てと。
そうだ、私は絶対に巨大魔獣を倒す。




