試練
三日三晩走れば、見えた村。
あれがチェダ!
私が以前着いた時にはもう、村は元の形が無かったが、元々この村はこんな村だったのか。
「こんなに活気のある村だったのね。」
この数十日であんなことになるなんて。
聖女の菫のことを気遣って、あんなにゆっくりと旅をしているからか、あんなに遅くなってしまって。
本当なら何人か先に行けばよかったのに。
彼らの中にはそれができたヤツらがいるのに。
菫から離れたくないって言って。
「嗚呼、これ以上考えていると無駄に腹が立つだけだわ。」
今は急いで魔獣を倒さないと。
とりあえず、しっかりとフードを被ってと。
黒い髪は不吉だから、忌み嫌われるものだからしっかりと隠さないと。
「よし。」
しっかりと隠して目も見えないように気をつけて、大分怪しいかもしれないけど、このフードは一応聖女様達一行の模様が入っているから、私が聖女様一行だということはわかると思う。
本当に菫がこれをくれていて良かった。
これだけは感謝だ。
さて準備も出来たし、行こうって!
「もう、中型の魔獣が!?」
目の前には、大きさでいえば中の魔獣が、村へと走っている。
どうやら誰かが逃げているのを追いかけているようだ。
死人は誰もいなかったはずだが、こんなにギリギリで生きてたのか。
「助けないと!」
走り出せば、すぐさま魔獣の元に行けた。
体はあの時の非力なままだけど、修行していた知識はしっかりと覚えているからちゃんと動く。
体がもっとちゃんとしてたら本当ならもっと動けるだろうけど、でも、今のこの体でこれだけ動けるなら上等でしょう。
師匠も言ってたもの。
ないものを得る努力よりも今あるものでどう補っていくかを考えていくかの方が有益だって。
だから、今あるこの力で。
「早く隠れて!コイツは私が相手をするから!」
「君は!?」
「いいから!早く!!」
逃げていた村人が隠れたのを確認してから、一応護身用に持っていた小型ナイフを取り出す。
前は怖くて出せもしなかったけど、ちゃんと扱い方が分かる今なら大丈夫。
今の私の体力はそう多くはないし、三日三晩寝ずに来たから多分直ぐに体力は尽きるだろう。
だから。
「先手必勝で、一撃必殺。」
コイツの弱点は以前の戦いで知ってるから、なんとかなる。
コイツの弱点は首。
他は硬い皮膚におおわれていて幾ら攻撃をしてもなかなか倒せない。
でも、頭と体のつなぎ目の首はそれがないから、攻撃が入る。
さあって。
「いくよ。」
空に包みをなげる。
それを見た魔獣はその包みを見て、顔を上げた。
よし、いまだ。
素早く魔獣の下に潜り込み、首を思いっきり刎ねた。
うん、上手くいった。
頭と胴体が外れた魔獣はどさりと倒れる。
いやー、良かった。
アイツらから無理矢理押し付けられたあの包み。
あれはもしも魔獣が倒せなかった時に、私を囮とするためのもの。
魔獣が好むと言われる木の実をふんだんに入れたものでもしものときはあれを自分で巻きながら囮となれて言われていたのよね。
それが役に立つなんて。
「本当に腹のたつことだわ。」




