試練
菫の声が聞こえる。
でも、そんなこと気にしている暇なんてない。
一刻も早くチェダに行かなくてわ。
体は訓練する前の未熟な体だけど、あの修行から体の使い方は十分分かっている。
それに師匠が言っていたが、元々の私の体は未熟はがらも体力や筋力は普通よりはマシなぐらいになっていたそうで、多分、この世界に来て、色々なものから隠れたり逃げたりすることが多くあったからその時に知らずに培ったものだと思う。
しかもあの世界で普通よりマシってことは、この世界では結構あるってこと。
後々思えば、この世界のレベルはリュウ様たちの世界のレベルより大分下。
魔力も戦闘力も。
正直、今居る勇者やなんだと言われているこの人たちだが、この人達のレベルはあっちの世界では、まぁ強いかな?ぐらいだもの。
一般兵レベル。
魔力だって、この世界だから天才やらなんやら言われてるけど、あっちの世界に行けば一般レベルだし、正直言って、リュウ様たちと比べると弱い。
まぁ、リュウ様とかは規格外レベルなんですけどね。
私が憧れていた騎士様も、あっちの世界に行けば、良くて一般兵になって、隊を一応任されるかな?ぐらい。
そんなレベルなんだから、あっちの世界でちゃんと修行し、普通の人よりマシなレベルの力があるって言うことを理解している今の私なら。
「あの村を助けられる!」
ガヤガヤと煩くていちいち変なことで時間を使う奴らに合わせていると助けることなどできるわけが無い。
しかもその時間を使うのだって菫が疲れていそうやら菫に私が近づいただの菫のことをなんやかんやと言って揉めてだし。
本当に時間の無駄。
そんな奴らと一緒に行動なんて本当に時間の無駄。だから、アイツらがなにか言っているのを無視して、チェダへと急ぐ。
走れば数日で着くはず。
数十日かかった前よりは充分早くつける。
「避難するのは、大型が出たからだし、今はまだ小型の物しか出てないはず。だからこそゆっくり時間をかけても大丈夫だと奴らは思っていた。」
でも、結局、村には大型の魔獣が来て、なんとか村人は逃げれたけど村は破壊されたんだ。
あともう少し遅ければ、逃げた場所にさえ、村を壊し終えた魔獣が行って村人達を皆殺していたかもだけど。
「ギリギリ過ぎるのよ。アイツらは。」
あんな意味の無いことばかりせずちゃんと行けば、もっと早く着くのに。
「こんなことを考えてる暇はないや。」
とりあえず急がないと。
なんで、今こんなことになっているのかは全然分からないけど。
これは夢かもしれない。
いや、夢ってのが1番考えられること。
どんなに頑張って助けようと今していても、きっと現実では、もう、終わったこと。
でも。
「夢だとしても助けられる力があるのなら助けたい。」
あの時は、持っていなかったこの力で助けられるなら。
「なら、迷うことは、一切ないよね。」




