挨拶の時間
「レイ様。」
「大丈夫です。アーニャさん。」
心配そうに私を見るアーニャさんに笑う。
まだ体に異常はない。
全然平気。
やっぱりアデル様の言っていたことは正しいみたいで今は普段通りでなんともない。
「宝玉の乙女様達に挨拶できて良かった。」
「全員いた訳ではありませんが、ほとんどの方が居て良かったです。」
「そうですね。」
3分の2ぐらいの方は居たので普通に会話をし、しばらく会えないことも伝えた。
寂しがってくれたが、また元気に帰ってくださいと皆さんに言われた。
それに私は答えず、ただ笑って別れた。
「守れない約束はしたくないので。」
「レイ様。私は。」
「アーニャさん、今日リュウ様は?」
「えっと、今日は夕方には仕事が終わるはずなので夕方には来るはずです。」
「そうですか、ならそれまでに準備しときましょうか。」
アーニャさんは苦笑しながらも頷いてくれる。
アーニャさんが何か言いたそうにしてることは知っているが、今は聞けない。
聞きたくない。
アーニャさんは全てを知っている数人の1人で多分このことに反対していた人。
でも、私の決めたことに対して何も言わないことを知っているから、だから私はアーニャさんに残酷なことをしているって知っていながらも気づかないフリをしている。
アーニャさんはこの世界に来てからずっと隣で居てくれて、お世話もしてくれて優しくしてくれた人なのに。
そんな人に私は悲しませる選択をした。
「レイ様に気持ちよく寝ていただけるように部屋の準備はしています。」
「そうですか。」
「そして、いつ目覚めていいように常に私がそばに居ます。勿論誰にも知られないようにしますので。」
「えっ?アーニャさんのお仕事は?」
「私の仕事は、レイ様が不便なく過ごせるように環境を整え、お手伝いをする事なので。他の仕事はレイ様に仕えてからは一切ありません。そして、それはレイ様が寝ていらっしゃっても一緒ですから。」
優しく笑顔を浮かべるアーニャさん。
その顔を見ると泣きそうになってしまう。
泣く資格など私にはないのに。
決めたじゃないか、覚悟したじゃないか。
勝手に私が決めてそれにアーニャさんは巻き込まれたのに、何故私が泣く。
そんなこと、そんなこと。
「私は、このアーニャはレイ様が目を覚ます事を信じております。だからずっとお傍で見守らせてください。」
「アーニャさん。」
「約束していただかなくていいのです。私が勝手に信じて待っているだけです。」
「それは。」
「レイ様が勝手に覚悟を決めて覚醒を選んだのですから、私も勝手にします。だから、レイ様覚えていてください。レイ様を勝手に信じてずっとずっと待っているものが居るということを。」




