絶望的な勇者
「リュウは歴代1の魔力持ち。それは初代宝玉の乙女の時代の勇者よりも。故に、リュウの全ての魔力を使えば、倒すことができると告げられているんだ。」
「そんな。」
「魔力を全てなんて、今まで使った人を見たことがない。どうなるかわからない。死ぬかもしれない。いや、死ぬ可能性が大きいんだ。」
そんな、そんな。
リュウ様が死ぬ?
そんな、そんなこと。
「リュウは生まれてから直ぐにそんな未来が告げられていた。だから、皆、リュウを勇者として祭り上げないんだ。リュウを、この国を愛しておる人達だからこそ、リュウを勇者とは呼びたくないんだ。」
だから、皆、黙っていたんだ。
勇者になれば死んでしまう。
そんな悲しい現実を、リュウ様に告げたくはない。
だから師匠達も言わなかったんだ。
「それに、レイちゃんが来たことで、未来は変わるんだよ?レイちゃんに話せば。」
「えっ?私?」
ジゼン様の説明を聞いている間にも話は進んでいた。
そして急に私の名がでてきた。
それも未来が変わる?
今まで私に話すかどうかの話だったのに。
「レイちゃんが宝玉の乙女になればそれこそ初代宝玉の乙女様と同等の力を手に入れるんだよ。そんな彼女と契約して、一緒に魔王を倒せば、リュウ、君は生き残れるかもしれない。そんな未来が見えたんだよ?だからこそ、レイちゃんに話せば。」
「話せば、優しいレイのことだから、宝玉の乙女となることを望んでくれると?」
「うん、そうだよ。」
「それが、もしかしたらレイが死ぬかもしれない賭けのようなものなのに?それをレイにしろと?」
「そうだね、宝玉の乙女となれるかは本当に賭けだけど。」
「ふざけるなっ!!!」
リュウ様が叫ぶ。
その表情は見えないけど、魔力がグルグルと周囲に渦巻いている。
とても怒っている。
そう感じられる。
なんで怒っている。
それは私が宝玉の乙女とすることで、死ぬかもしれないから。
さっきの話で分かった。
なんでアデル様は私に宝玉の乙女になれるかと言ってきたか。
私が宝玉の乙女となることで、リュウ様を助けたかったからだ。
絶望的な勇者と呼ばれた自分の息子を助けたかったんだ。
でも、それをリュウ様は怒っている。
私がもしかしたは宝玉の乙女になれず死んでしまうかもしれないから。
それだけじゃない。
「レイが死ぬかもしれない。そんな危険なことをさせられるか!!それに、俺と契約して一緒に魔王を倒す?そんな危険なことをレイに挑めと?そんなことさせられないっ!ましてや、俺が生きるためにレイにそんなとこを!!俺は、レイをそんな危険な目にあわせてまで生きたいとは思わない!!」
「リュウ様。」
「なんていうか、本当に。」
ジゼン様は苦笑してリュウ様を見ている。
嗚呼、本当になんて。
「馬鹿な人。」




