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絶望的な勇者

「だからこそ、伝えるべきなのよ。あの子は、あなたの運命であると同時に異世界の子なのよ。本来なら会うはずがなかった子、仕方がないとはいえ、こちらにこさせてしまったわ。そして私達と一緒に今過ごしている。あの子とこの、数ヶ月過ごしいて分かったわ。あの子はとても優しい子よ。きっと、このまま、何も知らずに居て、あなたがいなくなったらかならず悲しむわ。それも、死んでしまうかも知れないなんて知れば、かならず。」



えっ?

リュウ様が死んでしまう?

何を言って?



「だからこそ、秘密にしなくてはならないんじゃないか!!レイが悲しむなら、俺はレイの記憶を消して元の世界にっ!!」


「戻せるかどうかも分からないのに何を言っているの!一か八かの賭けでもする気?もうあなたが勇者として行かなくてはならないのに!後1年で見つけることが出来るの?本当に??」


「それは。しかし、レイが悲しむ姿など。」


「リュウ、君はレイちゃんの悲しむ姿など見たくないと言うけど、分かっているだろう?君は本当にレイちゃんの記憶を消せるのかい?まず、それさえ無理だろう。これは私しかわからない事だが、きっと無理だ。運命に自分を忘れて他の人と幸せになれなんて、絶対に私達には無理なんだよ。それが私達の運命なのだから。」



わからない。

一体、皆さん、なんの話をしているの??

なんで、私が悲しむとか、記憶を消すとか。

なんでそんな話が??



「でも、俺は勇者にならなくてはならない。そう、ならないと今、レイがいる世界が終わってしまう。レイが今、楽しそうに笑って見ている世界が、終わってしまう。」


「そうね。あなたが生まれた時から予知された未来になってしまったわね。今までのあなたなら、世界なんてどうでもいいと思っていたのにね。レイがまさか本当に来るなんて。」



師匠は悲しげに笑っている。

どうして、一体なんで??

混乱している私を見て、ジゼン様は少し笑う。



「うーん、こんな会話じゃ、分からないよね。リュウはこの会話から勇者であるってことは分かったよね?」


「はっはい。」


「でもね、今までも勇者ってこの世界に何度もいたんだよね。」



この世界は何度か魔王程ではないが、それに近いものがうまれ、その度に勇者が現れて退治してきた。

そう今までは、退治が出来ていた。

でも、今回は生まれたのではなく、目覚めたのだ。

正真正銘の魔王が。

初代宝玉の乙女と勇者が力を合わせて封印した魔王が。

初代宝玉の乙女と勇者が力を合わせてようやく封印できた魔王が、だ。

宝玉の乙女の力は初代から比べるととても劣っている今。

最大の力を持った初代さえも封印しか出来なかった魔王。

そんなのに、対抗する運命となってしまった、今回の勇者。

絶望的な勇者。



「もしかして、それが。」


「そう、リュウのことだよ。」



なんて絶望的な勇者。

宝玉の乙女は今何人かはいるが誰もかれもが初代より数段劣る。

どうやって魔王を倒すのか。

どうすれば倒せるのか。



「それはね、勇者の命をもって倒すことができるんだって。」


「えっ?」



今、なんて?



「勇者の命、つまり、リュウの命」

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