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勇者

リュウ様、一体どうしたのでしょうか。

始めみるリュウ様の姿に、私は固まってしまう。



「レイには何も言うな!!!」


「何もって。」



ジゼン様、困惑したようにリュウ様を見ている。

リュウ様は一瞬私を見た後、無言でジゼン様の背中押していく。



「ちょっ、リュウ!」


「何も言うな。さっさと歩け。」



そのまま2人は消えてしまった。

私の疑問には何も答えず。



「レイ様。」


「ランカさん、あの、今の。」


「僕達からは何も言えません。すみません。」


「そうですか。」



やっぱり、答えてくれませんよね。

そんな気はしてました。

でも、リュウ様が勇者って。

今まで1度も聞いた事はなかった。

普通、勇者なら多くの人が知って言っているはずではないのでしょうか?

前の世界では勇者やら聖女は有名で皆が言っていましたし、憧れ、尊敬し、騒がれていました。

どんな所でも。

なのに、この世界でリュウ様は、殿下とは呼ばれても勇者だなんて言われることは今まで1度もなかった。

リュウ様のあの様子、そして今のこの現状から、リュウ様が勇者ってことは隠されている?

もしくは言わないことになっている。

だから、誰も言わなかった。

だから、今、初めて聞いた。



「レイ様?どうしました?」


「アーニャさん。」



部屋に戻っても考えていると不思議に思ったアーニャさんが声を掛けてくる。

アーニャさんならきっと知っている。

でも、アーニャさんも教えてくれないかもしれない。

でも聞かないと、何も始まらない。

そう思いアーニャさんに聞いてみた。

でも、やはりアーニャさんも思った通り。

私が聞いた瞬間、驚いた表情を向け、どこで聞いたのかと聞いてくるだけでそれ以上何も言ってはくれなかった。

ただただ苦笑するだけ。



「すみません、レイ様。でも、それを知りたいのなら直接本人に聞いてください。」



そう言ってアーニャさんは頭を下げた。

リュウ様に直接。

きっとあの様子じゃ絶対に素直に答えてなんてくれない。

なんで、あんなに隠すのだろうか。

前の世界では、勇者なんて大々的に言っていたし、本人も本当にその事に対して自慢すれど隠そうとすることなんてなかったのに。



「一体、どうして?」



アーニャさんも退室し、部屋に1人きり。

考えてしまうのはリュウ様のこと。

なんだって、私が知りたいことは答えようとしてくれた。

俺の運命は勤勉だなとか言って。

でも、なんで、誇らしいことである勇者については教えてくれないのだろう。



「それはね、今回の勇者はね、絶望的な勇者だって予言されてるからだよ。」


「えっ?絶望的な勇者?」



一体、それってどういう意味?

というか、あれ?

今、一体誰が話して?

目線をあげれば、とても美形な顔。



「こんばんわー。レイちゃん。」


「えぇ?!ジゼン様!」



この部屋にいるわけが無い人の顔が目の前に。

叫びたい衝動をぐっと我慢することが出来た自分、本当によくやった。

他国の王子様を目の前に叫ぶなんて無礼すぎることをせずに良かった。

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