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王子と宝玉の乙女達

「全て知っていたの・・・?」


「嗚呼。一応、王子だからな。特にリィナは俺が夢を見る前に来た宝玉の乙女だから、その過去はよく知っている。」


「夢?」


「言っただろう?俺は、レイ、キミが生まれるまで運命の相手をみることが出来なかったって。運命が生まれていなかったから夢を見なかったんだがな。」



そういえばそんなこと言ってたっけ?

あれ?どうだったけ。



「夢を見てからは正直記憶が曖昧なところがあるが、その前は一応王子としていったからな。直接リィナから話を聞いているんだ。」


「えっ?」


「言っただろう?王子だからって。今、居る宝玉の乙女は基本、王と仮契約をしている。その際に事細かく聞かなくちゃいけないんだ。そして、次代の俺もな。もし、今の王が亡くなったとき、その仮契約を引き継ぐのは俺だからな。」


「そうなんだ・・・。」


「母上が宝玉の乙女だったから、父上は宝玉の乙女の保護並びに新たな道を見つけることに尽力した。そのことはとても凄いことだと思う。だから、このことに関しては、俺も真剣に取り組んでいた。来た当初のリィナはとてもやつれていて、生気のない目をしていた。まぁ、これはどの宝玉の乙女達にも言えるのだが。」


「え?」


「この国は母上のお陰もあって、宝玉の乙女に対しての認識は深く、今でこそ宝玉の乙女達はこの国の力となり、国民達も宝玉の乙女達を敬っている。でも、昔や他の国では違う。リィナに聞いただろうが、宝玉の乙女達は兵器として扱われていた。道具と同じように思われていた。しかも最強のな。故に使おうとはするが、近寄ろうとはしない。そんなのばかりだから、宝玉の乙女達の住む環境はとても良いものはない。」


「だから、生気のない目をしていたりして?」


「嗚呼。同じ人間なのにな。でも、今のリィナ達を見ていれば分かるだろう?彼奴らは国を守っていることに誇りをもっている。生気のない目などもうどこにもない。」



そういうリュウ様の目は優しい。



「俺は母上をはじめ、宝玉の乙女達はすぐ近くに居た。口煩く言ってくる者が多くてな。俺を王子だなんて思っていないのではないかって思うぐらい本当に口うるさくてな。しかも手が出る奴もいる。でも、そんな奴らなかなかいなくてな。俺を怖がらず、駄目なことは駄目だという奴らは・・・。」


「リュウ様。」


「今は俺よりも年下の宝玉の乙女達も居るが、リィナ世代の奴らはホント口うるさい喧嘩相手だったり、もっと前の世代は姉のようだったりな・・・。ホント、煩くて、でも・・・家族のようでな。。だからこそ、そんな宝玉の乙女達が悲しむようなことはもう二度とならないように・・・。」



そういうリュウ様の手は強く握りしめられている。

だから。

だからだったんだ。

リュウ様達がリィナさんが話す時間をとってくれたのは。

リィナさんの悲しみを。

いえ、きっと他の宝玉の乙女達の悲しみを知っているから。

もしかしたら・・・師匠も。

苦しみ、悲しみ、絶望をした姿を何度も、何度も見てきたのかも知れない。

気付けばそっと私はリュウ様の手に触れていた。



「?!」


「そんなに握りしめると怪我しますよ?」


「レイ・・・。」

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