表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/129

異世界と異世界

「それで、レイ。あなたが異世界に召喚されるのが二度目と言っても、この世界は初めてよ。」


「あっ、はい。」


「あなたがいた世界に魔術はあったかしら?」


「私が元いた世界にはありませんけど、前の世界では…。」



とりあえず菫のこととかは触れずに前の世界についてだけ簡単に説明した。

魔法やら魔獣やら。



「なるほど…。基本的なものは同じようね。」


「サーリナ様?」



サーリナ様、しばらく考えた後、にっこりと微笑んだ。

嗚呼、やっぱり美しい。

サーリナ様は再度、転がってる男性…王子様の方を向いて睨むように見る。



「馬鹿息子、起きてるのでしょう?」



冷たい声でそう呼びかける。

すると先ほどまで微動だにしなかった王子様はゆっくりと起き上がった。



「おー。母上、本気で殴るのやめてくれ。」



首あたりを押さえながら王子様が立ち上がる。

やっぱりサーリナ様の息子さんも綺麗だ。

最初はただのイケメンだと思ってたけど、気品もある。

まぁサーリナ様よりは男っぽさからか綺麗と言うよりはイケメンなんだよね…。



「レイをとりあえずこの王宮だけでも案内しなさい。」


「え!?」



サーリナ様の言葉に驚いた。

え、なんで王子様自らが!?

いや、というか悠長にお城の案内なんかいいのですか??

私、一応異世界のものですし!!



「いいのよ。とりあえず、今、私の夫がレイに対してどうするか対策を考えてるはずだから!」


「えっぇ?」


「それにこの馬鹿息子にレイは召喚させられたのだから、その責任は取らなければならないわ!」


「責任って…。そんな。」



責任などは別に。

以前の世界では、お荷物扱いで…。



「いいえ!あの馬鹿な息子のせいであなたの人生可笑しくなってるんですからね!」


「あっはい。」



サーリナ様の勢いに思わず頷く。

いや、サーリナ様が言っていることはまっとうなことなんだけど…。

それは分かってるけど、以前の世界で過ごしてから常識が可笑しくなっていると思う。




「さぁって。」


「きゃあっ!」



またも私の体が宙に浮く。

イケメン王子に抱き上げれている。



「おろして、おろしてくださいいいい!!」



じたばたと暴れるがなかなか降ろしてくれない。

なんで、なんで降ろしてくれないの?!



「リュウベルト!!」


「…はぁー。ようやく会えた運命なのに。愛でることも許されないとは…。」


「相手が許可したなら良いけど、相手が拒否してるのに無理矢理は許されないわ。」



サーリナ様に怒られて、王子様渋々私は降ろされた。

うぅ、びっくりした。

なんでこの人毎回私を抱きしめたり、抱き上げたりしたがるのだろうか…。

じっと王子様を見ていると王子様は私を見て幸せそうに笑う。



「ひぃ。」


「怯えてるじゃない!!」


「えぇ!?」



美形の笑顔は恐いです。

前回の世界である意味トラウマになってるんです。

前回の世界で暴力を振るわれるときに笑顔でしてくるイケメンがいたもので…。

あと最後のあの穴に落ちるときも笑顔の美形が私を見てて…。

ああ、もうトラウマです…。



「大丈夫よ。レイ。さっき言ったように、あなたに誰も危害は加えさせないから。もちろんこの馬鹿息子もね!」


「サーリナ様ぁ…。」


「失礼な!俺は絶対に俺の運命を傷つけないからな!」


「煩い!とりあえず、レイ。あの馬鹿に案内してもらって。本当は私が行きたいけど…。」


「なっ!母上でも、俺の宝玉を案内するという大役は譲れないぞ!」


「…馬鹿息子が煩いし、私もそろそろ夫の方に合流しないとだから…。」



申し訳そうなサーリナ様に気になさらないように声を慌てて掛ける。

王女様は忙しいのに!!

しかもきっと夫っていってたから王様にだろうし、それにさっき王様は私の対応をどうするか話し合ってるって言ってたし!

それって結局私の話ですよね?

申し訳ない気持ちなってしまう…。



「リュウ、ちゃんとレイを案内するのよ?」


「分かってる。これから俺の運命が生活するのだから、不便なことがあったらいけないからな!」



サーリナ様は不安そうに私たちを見ながらもため息をつき、目を閉じた。



「さぁ、俺の宝玉。いくぞ!」


「ぇ、ぇ、ぇえ?」



王子様に手を握られて、どんどんと部屋を出た。



「はぁ…。あの馬鹿息子め…。何事も起きなければ良いけど…。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ