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思い

「レイ!!」


「それでいいのよ、レイ!」


「えっ?」



目線をあげればいつの間にか師匠の腕の中。

いつの間に師匠戻ってきたんだろう。

あれ?なんでリュウ様はあんな変なポーズで固まってるんでしょう?



「プー!サーリナ様に奪われてるなんて。」


「っっ!アーニャ!!」



何かをアーニャさんが声を掛けると何故か喧嘩をし始めてます。

まぁ、最近よく見る光景なので気にせずに・・・。

それよりも。



「師匠?」


「ごめんなさいね。不安なはずのレイをそのままにして。」


「いいえ。でも、師匠戻ってきて良いのですか?」



とても急いで王様を追いかけて行ったのに。



「いいのよ。とりあえず、話は終わったから。」


「そうなんですか?」


「そうなんです。」



頷きながらも私の頭を撫でる師匠に思わず照れてしまう。

この年になってから頭を撫でられることってなかなかないので。

でも恥ずかしいけど、ちょっと幸せ。

師匠に頭を撫でられることで、さっきまで感じていた怖さがあっという間に消えちゃったので。



「レイ。とても不安でしょうけど、あの人が言っていたことは嘘じゃないわ。」


「はい・・・それは分かってます。」


「レイ、私はあなたの師匠でもあるけどね、まずは国母なの。」



それは、そうですね。

忘れがちですが、師匠は・・・サーリナ様はこの国の国母様。

国の母親。



「だから、私は国母としては、あなたに宝玉の乙女になるよう願うのが多分一番いいことなのだと思うわ。」


「・・・はい。」


「あの人が見た未来は多分あなたが宝玉の乙女になることで、国にとって最善の未来がくるわ。」



師匠の話を静かに聞いている。

そうですよね。

だって、師匠は国母。

国を思って行動しないと。

私はただの弟子でしかないもの。

分かってる。

分かってるけど。

師匠は何も悪くない。

当然のことを言ってるだけ。

なのに、なのに。

私の身体は勝手に震えてしまう。

怖くなってしまう。



「でも、私はあなたに宝玉の乙女になってほしくない。」


「えっ?」



今なんて?

師匠は今、なってほしくないって。



「いいえ、違うわ。そうじゃないわ。」


「師匠?」


「私はね、宝玉の乙女になってほしくないって訳じゃない。レイが私と同じ宝玉の乙女になってくれたら嬉しいわ。」


「嬉しい?」


「えぇ、だって、今よりももっとレイを近くに感じられるわ。宝玉の乙女は少ないって話したでしょう?」


「えっ、あっはい。」


「だから、宝玉の乙女は宝玉の乙女同士で分かち合うことがたくさんあるし、絆もあるわ。」


「絆?ですか?」


「そう、絆。宝玉の乙女は初代様が始まりで、その後の宝玉の乙女は初代様の力を受け継いでいる姉妹のようなものと言われているの。」


「姉妹・・・。」


「そう、姉妹。普通の人とは違う能力を持った私たちはどうしても宝玉の乙女同士しか分かち合えないものがあるの。」



そう言う師匠の目は遠くを見つめている。

そうだった。

宝玉の乙女たちは特別で。

でも、兵器として扱われているって聞いてた。

きっと辛い思いもたくさんしているのだろう。



「師匠・・・。」


「あら、レイ。そんな顔をしないで。私には愛する者もできたし、姉妹たちもたくさんこの国にはいるわ。分かち合えるね。」


「そうです。レイ様。この国はこの世界で一番宝玉の乙女たちを保護し、自由が与えられているんです。サーリナ様のお陰で。」


「あら、私のお陰じゃないわ。元々、この国では宝玉の乙女を兵器として扱っていたことは一度もなかったわ。」


「でも、さらにそれが高まったのはサーリナ様が国に働きかけたからです。」



師匠が。

師匠を見れば、照れくさそうに笑っている。



「もう、アーニャ。それはいいから。置いといて。」


「分かりました。」


「まぁ、さっきの話に戻るけど、レイが宝玉の乙女になればもっと近く、姉妹となれるわ。」


「師匠。」


「でも、でもね。それは何もリスクがなければの話よ。」




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