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未来を見る力

アーニャさんの偉大さを改めて感じていると、いつの間にやら家族喧嘩は終わったようで、疲れたような師匠とリュウ様と良い笑顔の王様がいました。



「まぁ、今はサーちゃんを愛でるのも十分したし、リュウ坊を弄るのもしたからー。」


「レイ様に何か?」


「そうそう、レイちゃん!レイちゃんに用があったんだよ!」


「えっ?私にですか?」


「そうだよー。挨拶がしたかったてのもあったんだけどねー。でも、用もあったんだ。」



用?

王様からの?

一体何でしょうか?

いや、心当たりがないわけではないのですが。

現在私は、このお城のお客様としておいてもらっていますが、実際は厄介者です。

働きもせず、ただ飯ぐらいです。

もしかして、王様自ら出て行って欲しいと言いに来たのでしょうか?

いや王様からの命令なら聞かないと・・・。

ああでもそれなら、明日からの修行は・・・どうしましょう?

いえ、それよりも今日の寝床は?

うーん、前よりは体力あるし、住み込みで働けるところとかあるでしょうか?



「嗚呼、そんなに身構えないで。そんなにたいしたことじゃないから、ねっ?」


「えっと、あのこの辺で住み込みで働ける所ってありますか?」


「んんんー?なんで?何を言ってるの?レイ?」


「そうだ!?なんで急に住み込みでなんて!レイの住む場所はここだ!」


「しかも働くなんて!!レイ様が働くなんてことは!!」


「えっ?だって私、ここから出て行かなくちゃいけないのでは?」


「ちょちょちょ!レイちゃーん!」


「王様に私に用ってそれぐらいじゃ?」



私がそういえば、3人は王様のほうにぐるりと見て睨み始めました。

ギロって感じです。



「えっえっえっ!ちょ!レイちゃん!!違うよー!!そんなことを言いに来たんじゃないよ!!」


「違うんですか?」


「違うよ!!レイちゃんは大事なお客様だってもうみんな知ってるし!追い出すなんて!そんなのないからねー!!」


「えっと、では用って?」



追い出されないことに内心安心しつつ、王様を見る。

すると、王様はにっこり笑って、私に指を指している。



「あのね、レイちゃん。君は宝玉の乙女になれるんだって言ったらどうする?」


「・・・は?」


「ちょ!何を言ってるの!?」


「冗談でもなんでもないよ。サーちゃん。見たんだ。」


「!?見たの?」


「あぁ。見たよ。はっきりとね。」



師匠は王様の言葉を聞いて、顔を真っ青にしている。

一体何を見たんだろ?

それになんで急に私が宝玉の乙女になれるなんて。

宝玉の乙女の方達は産まれにしてだって師匠が言ってたのに。

なのに、なんで私が?

そんなことありえないはずじゃ。



「あのね、僕は歴代の王の中で一番力のない王って言われてるんだ。」


「え?」


「事実よ。この人の魔力は歴代最低。」


「師匠?」


「でも、歴代最凶の王とも言われているわ。」


「最凶?」



「そう最凶。この王に刃向かうものは破滅が待つ、そう言われている。」


「ひどいなー。ただ、僕は、‘最善の未来’を選んだだけなのに。」



王様は楽しそうにクスクスと笑いながらそう言った。

最善の未来、それは本当にそうなんでしょうか?

もしそうなら、なんで王様はそう言った瞬間苦しそうな表情を浮かべたんでしょうか。



「僕は産まれにして魔力がなかった。」


「魔力がない?」


「嗚呼、ないは言い過ぎだね。多少はあったよ。でも王族にしてはとても少なくてね。」


「王族はね、代々魔力が多かったのが普通だったの。でも、この人は歴代最低だったの。」


「でもね、僕には歴代の王にないものを産まれにしてもっていた。」


「ないもの?」


「それがこの力、未来を見る力だ。」



未来を見る力?

それって運命を見る力以外の?



「元々、王族は自分の運命を見ることはできるけど、未来を見ることが出来たのは僕だけなんだ。」


「未来を見る?」


「そう、言葉通り、未来を見ることが出来る。いくつものね。」


「いくつもですか?」


「そうだよ。未来はいくつもあって、そこから何をどうするかでどの未来になるか決まるんだ。だから決まるまではいくつもの未来があって、どの未来も見ることが出来た。どうすればその未来になるか。それを知れるんだ。」



それは、それが本当に見れるんだったらとても凄いことです。

だって、その力を使えば。



「レイちゃんの思ってるとおり。僕はこの力を使って、うまく危機は回避してきたんだ。」



とんとんと王様は自分の頭を指さす。



「僕を暗殺しようとする者はそうなる前に殺したし、刃向かおうとする者は先に破滅にもっていく。」


「最善の未来のためにですか?」


「そう、‘僕が’最善の未来に行くために。」


「故に最凶の王って言われるのよ。」



師匠は呆れた風に言っていたが、きっと気付いてるんだろな。

王様が‘自分が最善の未来に行くため’にいろんなものを犠牲にしたことを。

そしてそれを後悔していることも。

でも、やめることができないことも。

気付いて、そして知らないふりをしているんだろうな。


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