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勝負

「俺にとってこの黒は祝福の黒だと言うのにな。」



いつの間にやら目の前にいるリュウ様が私の髪を大事そうに手に取る。



「だから俺はレイをこの世界に喚んだんだ。あんな世界に一秒でも居させたくなくて。」


「リュウ様。」


「本当ならあの世界を壊したかったが、それはレイは望まないと思ったからな。」



確かに。

壊されるのは困る。

とても嫌いで辛い世界だけど。

でも私のせいであの世界が、あの世界の人たちが死んだりしたら。

私はずっとトラウマになる。

私が殺したんだって。

だからリュウ様が壊さず、私を喚びだしてくれただけにとどまってくれて本当に良かったって思う。



「レイ。俺がレイを愛するのは運命だから。それは間違いない。」


「・・・全てを見ても?」


「嗚呼、全てを見たからだ。だから愛おしい。」



リュウ様は優しく微笑んでいる。

本当に私を愛してるってそう目が言っている。

でも・・・でも・・・。



「私は信じられない。やっぱり信じられないんです・・・。」


「レイ。」


「愛なんて、信じられない。他人からの愛なんて。もう信じたくない。」



菫に騙されたことは強く強く私に傷つけた。

大きなトラウマとしてきっとずっと残る。

もう二度と傷つかないように修行してるけど、でもこの記憶は一生私を苦しめる。

他人からの愛が素直に信じられないように。

これは菫からの呪いのように・・・。

ずっとずっと私を蝕む。



「だからリュウ様がどれほど愛をささやいてくれても信じられないんです。」


「・・・。」


「無駄なんです!だから、もう!!」


「俺はレイに愛をささやくことをやめない。」


「えっ?」



止めて欲しいと伝える前にリュウ様に止められる。



「でも、私は!!」


「俺は止めない。」



言おうとすれば、それをリュウ様が止める。



「レイが信じられないというなら、信じられるまで言い続ける。」


「・・・そんな・・・こと。」


「ずっとずっとレイだけを愛し続けていたんだ。今はレイ自身に言えるんだ。」


「リュウ様?」


「レイが異世界の人間だって分かったときどれほど絶望したか。」


「えっ?」


「会いたくても会えない。愛をどれだけ伝えたくても伝えられない。それがどれほど苦しく辛かったか。」



リュウ様はじっと私を見つめてくる。

その瞳はとても真剣で。



「でも、今は願ったレイが目の前に居るんだ。レイが信じられないというならば信じられるまで伝えるだけ。」


「でも・・・。」


「今が幸せなんだ。愛を伝えれる。レイに俺を見てもらえる。それが本当に幸せなんだ。」



まっすぐ見つめられると視線を外したくなる。

でも、出来ない。



「だから止めない。どんなにレイが嫌がろうと。」


「・・・どれは酷くないですか?」


「仕方がない。レイには受け止めてもらうしかないな。」



からかうように笑うリュウ様。

言っていることは滅茶苦茶である。

でも瞳が真剣で私は視線を外すしか出来ない。

嗚呼、もう。



「じゃあ、私は止めるように、対応していきますよ!?」


「嗚呼、それでかまわない。俺はレイを愛することを、レイにどんな態度を取られても止めないから。」



やけくそ気味にそういえばリュウ様は笑いながらそういう。

平気な態度で。

嗚呼、嗚呼もう。



「・・・そうですか。」



そういう態度ですか。

なら。



「じゃあ、遠慮はしません。」



私も遠慮しません。

リュウ様が勝手にするって言うなら、私も勝手にします。

酷い態度をとるかもしれないけど、知りません。

絶対止めさせます。

私の為に。

私がもう傷つかないように。

愚かな希望を見てもう傷つくことがないように。



「嗚呼。分かった。きっと勝って見せよう。」


「勝つ?」


「嗚呼、レイに俺の愛を受け止めてもらって、俺の嫁になってもらう。それが俺の勝利だ。」



自信満々に言うリュウ様に呆れが湧いてくる。

これほど言っているのに。

だから私も言ってやる。



「じゃあ、私の勝ちはリュウ様に愛を諦めさせることですね。」


「そうはならないな。」


「いいえ、なります。そうしてみせます。」



私は勝ってみせる。

愚かな私にならないように。

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