表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/129

夢と運命


「私が運命だから・・・?」


「レイ?」


「じゃあ、私が運命じゃなければ・・・もしかしたら間違いだったら・・・。」



ずっと思っていた。

リュウ様はとても私を大切にしてくれている。

それはこの一ヶ月で分かったの。

でも、それって、私がリュウ様の運命だからで。

もし、その運命が違ったら?

間違いだったら?

もしそうだったら・・・リュウ様も・・・。

それに、師匠もアーニャさんも・・・みんな、あのような目で見るの?

以前の世界で誰もが私を見ていたあの目。

役立たずって。



「レイ。」



優しい声で名前を呼ばれるが顔をあげることができない。

本当に変なことを聞いているって分かってるの。

でも、恐くて。

私になんの力がないことは知っている。

だから、私はあの世界でみんなから嫌われて。

もうそうなりたくないからってこの世界で修行して。

でも、やっぱりまだまだな私は恐くて。



「レイ。俺の愛しい宝玉。」



そっと暖かい何かが頬に触れる。

これはリュウ様の手。



「確かに俺は運命だからレイに惹かれていた。運命は特別だから。」


「・・・。」



運命は特別。

それって前の世界の菫の聖女とよく似ているようで・・・。

菫は聖女様だったからどんな人からも好かれていた。

初めて会う人だって、聖女様聖女様って。

菫のこと何も知らないのに。

逆に私はこの黒のせいで誰からも嫌われて・・・。

私のこと何も知らないのに。

そう何も知らないのに。

もし、逆だったらって思わなかった訳じゃない。

もし私が聖女だったら。

あの菫の立場は自分だったのかなって。

うらやましく思わなかった訳じゃない。

でも今、実際に同じようになって思うの。

もし、これが間違いだったら?

そうだったらきっと私はまたあのようになっちゃうんじゃないかって。

だから信用できない。

どんなにリュウ様が良くしてくれても。

優しくしてくれても。

これは運命だから。

運命の人が与えられるものだって。

私に与えられているものじゃないんだって。

そう考えてしまう。

酷い考えだって思うけどそう考えてしまうの。



「特別なんだ。だってどんなに離れていても運命が産まれた瞬間からずっと見続けることができるのだから。」


「・・・えっ?」



今なんて言いました?



「産まれた瞬間から?」


「嗚呼。そうだ。まぁ、運命が年上の場合もあるが、その場合は王族の方が産まれた瞬間からだがな。」


「えっ?どういうこと・・・?」


「言葉の通りだ。俺もずっと見てた。レイが産まれた時からずっと。」


「・・・嘘・・・?」


「嘘じゃない。そうだな・・・レイが5歳の時に黒猫を追いかけて神社で迷子になった時のことや、7歳の時に初恋の男に手紙を書こうとしてやめてことや・・・あの時は正直嫉妬したし、相手を殴りたくなったな。」



リュウ様が楽しそうに話す話は全て私のこと。

本当にあったこと。

思い出の片隅にあったことや大きな事件でよく覚えていること。

でもどれも私のこと。



「本当に見て・・・?」


「嗚呼、もちろん。言っただろう?夢で見ていたって。」


「夢で見ていたっって、それって・・・本当に私の全部を?」


「嗚呼、毎日見ていたからな。」


「・・・嘘・・・そんな・・・。」


「嘘じゃない。運命が特別なのはこういうことだ。」



特別って・・・そういう?



「運命の全てを知っていたいから。だから王族は皆、夢で運命の全てを知る。」


「・・・異世界でも?」


「嗚呼、異世界でも、運命がいるのならば関係ない。」



ストーカー・・・?

いや、考えないようにしよう。

この話を聞いて背筋になにか冷たいものが流れたけど・・・。



「運命の全てを知って、そして愛するんだ。全てが愛おしんだ。」


「・・・リュウ様は私の全部を?」


「嗚呼、見ている。もちろん、あの世界のことも。」



あの世界。

そう言うリュウ様の目はとても冷たかった。

恐いと感じるぐらい冷たく暗い。



「本当に俺の愛しい愛しい宝玉を、あんな風に扱って・・・。」


「リュウ様?」


「この美しい黒を不吉だと?」



リュウ様が呟くとぶわりと風が舞う。

リュウ様の怒りに魔力が同調しているみたい。



「はっははは。本当に愚かな。」


「きゃっ!」


「嗚呼、すまない。大丈夫、レイを傷つけることはない。」



荒れ狂う魔力に驚いて声を上げると。リュウ様が優しく微笑みながら魔力を押さえながらそういう。

私をってことは・・・いや考えないようにしよう。

きっと、誰でも大丈夫です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ