王子と侍女
「よおやく、開いた。」
「えっ?」
今日一日の修行を終え、鍛錬場から出ると、リュウ様がこちらを笑顔で見ていました。
そして抱きついてこようとしましたが、何故か弾かれました。
えぇ、バチーンって音を立てて。
「・・・さぁ、レイ様。お疲れでしょう?早く部屋に帰りましょう。」
「アーニャさん。」
「今日も部屋に食事の方を用意していますので。」
「えっと。」
「レイ様が気をつかうなどないようにしばらくはお部屋に用意しますので。」
アーニャさんの言葉はありがたいけど。
食堂でしなくていいのかな?
いや、あんな豪勢な食堂では食事を取りたくないけど。
礼儀作法なんて分からないので。
でも、きっとこのお城で働く人たちの食堂とかもあるはずじゃあ?
昨日のリュウ様の案内では教えてくれなかったけど。
そっちで食べるとかなら。
「いいえ、レイ様を他の者と一緒に食事なんてさせられません。あなたは運命様であり、異世界からの客人様。不埒な真似をしてくる輩がいるかもしれません。」
「そんな。」
「そんな輩がいればすぐさま排除をしますが、そうならないことが一番ですから。」
「でも。」
「レイ様が気になさることはなにもありません。さっ。早くお部屋に。」
そう言ってアーニャさんが先に進めようとすると、復活したリュウ様が目の前に立ちはだかっている。
「待て!アーニャ!この壁を除けろ!俺の愛しいレイを抱きしめられないだろう。」
「ささっ、早く行きましょう!」
「アーニャ!!無視するな!!」
「・・・ッチ。」
それを見向きもしないで優しい笑顔で私に早く帰りましょうというのはアーニャさん。
どうやら魔法でバリアみたいなのをはったのもアーニャさんらしい。
アーニャさんにとけとけと言っているがアーニャさんそう無視している。
っというかアーニャさんさっき舌打ちしたような・・・。
いや、まさか。
無視して前に進もうとするけど、その先をうまくふさいでくるリュウ様。
しばらくそのやりとりを繰り返していたが、リュウ様の限界がきたようで・・・。
「アーニャが解かないのならば。」
良い笑顔でリュウ様はアーニャさんを見た後、パリンっという小さな音がした。
どうやらバリアーがとけたようです。
「嗚呼、一日ぶりのレイ。」
解いたと思ったらいつのまにやら私を抱きしめているリュウ様。
早業過ぎて驚く暇もなかった。
そんなリュウ様を心底嫌そうに見るアーニャさん。
いや嫌そうにっていうよりはあの怒りと憎悪を混ぜ込んだような目ですね。
嫌そうなっていう単純な目ではなかったです。
「糞王子。そこをどきなさい。」
「はっはは。何を言っている?」
「どきなさいって言っていますの。レイ様は修行によりお疲れなのです。早くお部屋に帰って休まれないといけないのに。」
「ならば、俺がレイを抱いて連れて行く。」
「・・・何を馬鹿なことを。それをするならば私がします!」
「何を馬鹿なことをとはお前の方だ!アーニャ!何故お前がレイを抱くのだ!」
「私はレイ様の侍女ですもの!えぇ!たった一人の侍女です!」
「はっ!侍女がなんだ!俺はレイの運命だぞ!」
「何を言っているのですか?あなたはレイ様の運命ではありません!」
「なんだと!俺の運命はレイだぞ!」
「えぇ、あなたの運命はレイ様かもしれませんが、レイ様の運命があなたかどうかはわかりませんもの!」
「はぁ!?そんなの決まっている!レイの運命は俺だ!」
「はぁ、本当にあなたの頭はお花畑ですね!?」
アーニャさんとリュウ様の言い合いに唖然としながら眺める。
アーニャさん・・・リュウ様は王子様なのに。
すごい口調で言い合ってるんですが・・・。
不敬罪とかにならないのでしょうか・・・。
ハラハラしながら見つめているとそれに気付いたリュウ様が優しい笑顔で私を見た。
「ああ、すまない。愛しい俺のレイ。ほったらかしにして。疲れているのに、アーニャなど相手にして君をほったらかしなど。早く部屋に帰ろう。」
「えっ!?」
がばりっと宙に浮く私の身体。
そういえば昨日もこんなことあったような。
・・・どうして毎回私はリュウ様に姫だっこをされているのだろうか・・・。
「おろしなさい!!レイ様は私が運ぶのよ!!」
「馬鹿を言うな!俺が運ぶんだ!」
「いや、あの私自分で歩けます・・・。」




