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スーザン一族 2

「そんな風に言うのはやめてください。」



アーニャさんは少し怒ったような声で師匠に言う。

師匠に対してその態度を取るなんて。

師匠はお后様で、王様の運命の人なのに・・・。

その態度に驚いているのにアーニャさんは気づいたようで、私に対して優しく微笑んで話し掛けてきた。



「レイ様。私はレイ様の侍女ですから。」


「えっ?あのそれって?」


「言葉の通りよ。レイ。」



言葉の通りって?

アーニャさんが私の侍女だからこの態度っていうことですか?



「言ったでしょ?スーザン一族は王族ではなく、運命に忠誠を誓うって。」


「それは聞きましたが・・・師匠も運命では?」


「えぇ、そうよ。でもね。」


「はい、サーリナ様は私の母が仕える方ですが、私が仕える方ではありません。」


「えっと・・・?」



どういうことですか?

頭が悪いからか理解ができません。



「あぁ、大丈夫よ。レイ。最初、私も理解できなかったから。」



理解できずに、少し落ち込んでいると私を慰めるように師匠が声を掛けてくれた。



「スーザン一族は全員が運命に忠誠を誓っているけど、全員が運命に仕えられるわけではないの。」


「そうなんですか?」


「えぇ、スーザン一族も昔からの貴族でもあるから。その仕事をしていく者もいるからね。」


「運命の方に仕えられるのはスーザン一族の現当主のみなんです。」


「現当主のみ。」


「はい。」




ってことは今の当主は・・・アーニャさんということですか?



「スーザン一族にとって運命様に仕えることが一番の喜びであり、誇り。」


「誇りですか・・・?」


「はい。故にスーザン一族は誰もがそうなりたいと願いますが、それをかなえられるのは1人だけ。」


「1人。」


「はい。運命様にご迷惑をお掛けするわけにはいけませんので。初代当主の時からそうなっております。」



本当は一族全員が仕えたいが、仕えてしまうと貴族としての勤めができず、それは国に、つまり王族に迷惑を掛けるとのこと。

初代の運命はそれを心配し、自分の元にくるのは1人だけだと決めたそうで。

それからずっと運命に仕えるのはスーザン一族の当主一人と。

運命に忠誠を誓っているスーザン一族は運命の言うことに従っていると。

それこそ何百年と。



「あのでも、私は、運命では・・・。」


「いえ、あなたは運命様です。」



リュウ様は私を運命だとか言っているけどなにかの間違いではないかと昨日から思っていた。

最初はリュウ様の勢いに押されて何も考えられなくて流されちゃったけど。

あの後よく考えて思ったの。

だって本当に今まで一回も会ったことがないのに。

なのに、リュウ様は私を運命だといい、何故か愛していると伝えてくる。

正直、以前の世界で、手酷い裏切りを受けたことで、優しい言葉は受け入れない。

それこそ愛など。

そんな私が運命なわけがない。

だから、何かの間違いじゃないかって、そうアーニャさんに伝えたけど、まっすぐにアーニャさんは見て、はっきりとそう言った。



「そんなわけ!!」


「急にそんなことを言われて信じられない気持ちは分かります。」


「アーニャさん。なら。」


「でも、あなたが運命様なのです。あなたが。」


「もう!アーニャやめなさい。」


「サーリナ様。しかし。」


「しかしもなにもないの。レイは異世界から来たのよ。なお、こんなこと信じられないのは当然よ。私も最初全然信じてなかったのだし。」


「・・・そうですね。サーリナ様も信じなかったと母から聞いております。」


「レイ。アーニャのことはあまり気にしないで。」


「えっ?」


「別にレイが運命かどうかではなく、とりあえず、アーニャが侍女として仕えるだけって考えてて。」


「でみ、アーニャさんは。」


「いいのよ。もしレイが運命じゃなかったら、そのときは新しい運命にアーニャが仕えるだけ。それまではレイに仕えるだけ、ね?」


「・・・。」


「それとも、アーニャが嫌?」


「いえ!そんな!!」


「なら、いいわよね?ね?」



師匠からの言葉に頷いてしまう。

本当ならアーニャさんが仕える人じゃないのにってまだ思うけど。

でも、きっとここでまたごねても師匠は頷いてくれないし、多分侍女を増やすとかいいそうな気がするんです。

さっき、本来ならもっとって言ってたし。

多分、アーニャさんがその数人分の力を持っているからアーニャさんだけなんだと感じました。

なので、納得はしていないけど、とりあえず師匠の言うように考えるようにします。

アーニャさんが本当に仕える運命様が現れるまどお世話になるって。



「アーニャさん。これから宜しくお願いします。」


「いえ、こちらこそ宜しくお願いします。至らぬ点も御座いますでしょうが、全身全霊でお仕えさせていただきます。」




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